中央省庁公務員のパク氏は最近、グーグルの検索窓やGメールを好んで使う。パク氏が所属している省庁が、世宗市(セジョンシ)に移転し、週に何度もソウルを行き来しなければならないが、移動中にスマートフォンで資料や電子メールを確認する時、便利なためだ。パク氏は、「公務員のメールアカウントは、モバイル機器では確認できないため、グーグルのGメールを使う場合が多い」と話した。
会社員のキム・ミョンジン氏(39・仮名)も同様の理由で、最近までグーグルのサービスを愛用してきた。氏は先日、たまたま自分のグーグルアカウントを見て、保存された情報を目にし、びっくりした。キム氏は、「グーグルのアカウントには、6ヵ月間入力した全ての単語や訪問したウェブページの記録が一つ残さず保存されている」と話した。
特に、アカウント内の「位置記録」には、キム氏が毎日、何時何分にどこからどこに移動し、その場所でどれほど留まっていたかが、地図上に線でくもの巣のように表示されていた。グーグルはすでに、自社内でキム氏の職場や自宅の住所まで正確に把握していた。キム氏は、「このようなデータまで保存されるとは夢にも思わなかった」とし、「誰かが私の全てのプライバシーを見守ってきたような気がして、鳥肌が立った」と話した。
最近、世界を揺さぶる米国家安保局(NSA)の盗聴・傍受を巡る波紋以来、世界各国で情報の生成や流通、保存、活用までを自国主導で行うべきだという「情報主権」への関心が高まっている。そんななか、グーグルを多く使っている国を中心に、「グーグル警戒令」が出ている。グーグルが世界の検索やモバイル体制(OS)市場で、それぞれ80%に上る圧倒的なシェアを基に、全てのユーザーの考えや行動パターンをリアルタイムで収集しているからだ。このような情報は、唯一、グーグルや米政府だけがアクセスできるサーバーに保存される。
11年当時、米アップルも、ユーザーの同意無しに位置情報を保存し、議論に巻き込まれたことがある。グーグルは情報を活用しながら、形ばかりのユーザーの同意を受けているが、同意しなければサービスをきちんと利用できず、ユーザーらは同意したかどうかすら知らないケースがほとんどだ。
高麗(コリョ)大学情報保護大学院の金承株(キム・スンジュ)教授は、「グーグルは、Gメールの内容も自動にスキャンし、キーワードを選んでターゲット広告に使っている」とし、「ビックデータ時代では、情報はそれこそ資源であり、権力になるためだ」と話した。