政府が昨日、我々の管轄区域の離於島(イオド)水域の上空や、わが領土の馬羅島(マラド)と虹島(ホンド)の南の上空までに拡大した新しい韓国防空識別圏(KADIZ)を公式宣言した。15日から発効する。我々の主権や国益を守る適切な措置だ。1951年、韓国戦争の途中、米軍が線引きした後、我々の飛行情報区域(FIR)や海軍の作戦区域(AO)と一致しないのに、62年間、変えられなかった矛盾の線を、ついに正したのだ。
これまでの政府は、領海概念を拡張し、排他的経済水域(EEZ)を宣言した時、防空識別圏の問題も解決できるチャンスがあったが、実現できなかった。中国が一方的に防空識別圏を宣言すると、遅れて、受身的に対応したのは残念だが、従来の国際航空秩序を壊さず、周辺国の領空とも重ならない範囲内で、妙手を探し出したのは、評価に値する。米国務部は昨日、声明を発表し、「国際的慣行に適し、上空飛行の自由やその他の国際法上の国際空域の適法な使用を尊重するやり方で、同措置を実施するという韓国政府の意志を評価する」とコメントした。
しかし、周辺諸国が積極的に支持していない現実も、直視しなければならない。中国に続き、韓国が北東アジア地域の現状維持(stasus quo)を変更しようとする試みに対し、米国も最初は芳しく思わなかったのも事実だ。中国も同様に、「我々の狙いは日本だったのに…」と、残念がっているという。日本も右翼陣営を中心に、独島(トクド=日本名・竹島)まで、自国の防空識別圏を拡大しようとするかもしれない。宣言後の管理が、なおさら重要になっていることを意味する。
我々の力量についても、冷静に突き詰めなければならない。わが防空識別圏が、236キロ以上南へと拡大されただけに、この区域に入ってきた航空機を近い距離で識別し、規定を破った場合、これを阻止する空軍の作戦能力を備えなければならない。遠距離空軍作戦を支援できる新しい空軍基地も必要だ。新たに宣言した線についての実効的管理能力を示せなければ、能力もないのに、管轄区域だけを拡大したのかと、周辺国から無視されかねない。
政府が昨日、防空識別圏の拡大案について明らかにし、偶発的軍事衝突を防止し、航空機の安全を保障するのに必要な措置のため、関連諸国と協議していく意思を明らかにしたのは適切な措置だ。韓中日が、ともに関心を持っている離於島周辺の水域について、3国が協力できるチャンネルができれば、今後、北東アジア地域の安保問題を議論できる土台になりかねない。このような過程を通じて、経済的交流は増えているのに、安保問題の衝突が深刻化する、いわば、「アジアパラドックス」を緩和し、韓国がこの地域の軍事的信頼構築に先導できるチャンスにしなければならない。