韓米両国が戦時作戦統制権の返還時期を決める「条件」の一つに、北朝鮮内部の急変事態に対応する韓国軍の能力を追加することを検討している。12、13日の2日間、ソウルで開かれた韓米共同連合実務団会議では、北朝鮮の核の脅威だけでなく張成沢(チャン・ソンテク)氏の処刑による急変事態の可能性など、韓半島の安保環境の問題が幅広く協議された。
政府当局者は15日、「韓米両国は、戦作権の返還時期の重要な要素として北朝鮮の核とミサイルの脅威を考慮してきた」とし、「急変事態は、北朝鮮の核・ミサイルの脅威を現実化させる触媒になる恐れがあるという点で、韓米両国が注目している」と伝えた。実際、韓米が最も憂慮するシナリオは、北朝鮮に急変事態が発生して北朝鮮首脳部の核とミサイルに対する統制権が喪失した状況で南北間の偶発的な軍事衝突が発生するケースだ。
このため韓国政府内部で、北朝鮮で急変事態が発生した際の韓国軍の対応能力や韓米間の役割分担なども検討して戦作権返還の時期を最終的に決定する必要があるという意見が提起されている。政府関係者は、「米国は、韓半島の有事の際、北朝鮮内の核施設を掌握する任務を担う組織を在韓米軍に設置している」とし、「韓国軍はその状況でいかなる任務を遂行できるのか客観的に確認する必要がある」と述べた。
一方、金正恩(キム・ジョンウン)労働党第1書記は、張氏の処刑(12日)直後に公式活動を再開し、健在であることをアピールした。朝鮮中央通信など北朝鮮メディアは14日、金第1書記が人民軍設計研究所を視察したと報じたのに続き、15日、金第1書記が完工を控えた江原道(カンウォンド)の馬息嶺(マシクリョン)スキー場も視察したと明らかにした。これは、金第1書記が張氏粛清を決心した場所とされる白頭山(ペクトゥサン)の三池淵郡(サムジヨングン)訪問の報道があった先月30日以来の公式活動だ。これに対して政府関係者は、「張氏処刑による住民の動揺を防ぐことが目的のようだ」と指摘した。