釜山(プサン)のセンタムシティーはショッピングモール、アイスリンク、アクアランドなどを備えた東洋最大の複合ショッピング・リゾートだ。ギネスブックに認定された世界最大の百貨店をはじめ各種施設の大きさと華やかさのため、一度行って見た人は見とれて感心するような、釜山のランドマークとなった。在来市場の再生という見地からすれば、あらゆる施設を取り揃えて、人々を引きつけて財布を開かせているのだから、憎らしくもあるだろう。
だが、センタムシティーには映像や映画、ソフトウェアなど1200あまりの関連産業が集まり、1万5000人あまりの専門人材が勤めている。企業が観光・文化インフラを作り、地域経済を活性化させ、雇用を増やした代表的な例だ。センタムシティーには、買い物客だけでなく、国内外の観光客も訪れている。
高所得世帯が月26万4000ウォンをもっと消費すれば、年間16万8000の新規雇用が生まれるという研究報告書が出た。現代(ヒョンデ)経済研究院の「所得階層別の消費余力と示唆点」という報告書によると、お金持ちが財布をもっと開けば、国内総生産(GDP)は年平均7兆2000億ウォンがさらに増加するだろうと分析した。内需を活性化するためには、高所得者層の消費を増やす方法を講じなければならないという話だ。
国内の民間消費が増えれば、製造業やサービス生産の増加と雇用の増加につながる。韓国は、世界的な金融不安が高まる中でも、昨年、史上最大の輸出額と貿易収支黒字を達成した。だが、輸出の好調が庶民の暮らし向きの改善にはつながっていない。手形不渡り率が3年ぶりの最高水準になるほど、内需が落ち込んでいる。朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が新年演説で内需と輸出の均衡発展を強調したのも、そのためだ。
庶民は、消費をしたくてもお金がなくて使えない。家計貸出しが1000兆ウォンを超えた。お金持ちが財布を開かなければならない所以だ。ここ数年間の消費増加率は、所得増加率に及ばない。とくに高所得者層の消費が振るわない。高所得者層の月平均の実質仮処分所得は587万ウォンで、低所得者層(66万ウォン)の9倍以上だが、月平均の消費支出は323万ウォンで低所得者層(90万ウォン)の3.6倍に過ぎない。
政府は、内需誘発効果が大きい国内観光の活性化を図り、小中高の春・秋休みの導入を検討する案まで示した。海外に集中している高所得者層の観光ニーズを国内に向かわせるため、高級文化観光インフラを拡大するべきだ。ゴルフ場に対する特別消費税や各種規制が緩和されれば、海外ゴルフ観光も経るだろう。高級住宅に対する規制を緩和し需要を拡大する必要がある。至るところで内需が回復してこそ、持続可能な成長を期待できる。