大統領首席秘書官9人のうち、大統領選挙の時に朴槿恵(パク・クンヘ)大統領と共に戦った人は、李貞鉉(イ・ジョンヒョン)広報首席と尹敞繁(ユン・チャンボン)未来戦略首席の2人だけだ。公約履行を強調してきた大統領だが、金廣斗(キム・グァンドゥ)国家未来研究院長、安鍾範(アン・ジョンボム)、姜錫勲(カン・ソクフン)議員など大統領と長く公約を研究してきた参謀は1人も大統領府に合流できなかった。
歴代政権は、政権初期には大統領選挙時の参謀を中心に大統領秘書陣に整え、国政哲学と課題を強力に推進し、政権後半に官僚を配置して安定的に大統領府を運営する方法を取ってきた。
朴大統領は歴代政権と違って政権初期から官僚出身で首席をそろえた。省庁と緊密に協力するための布石だったが、彼らは就任初期、創造経済や基礎年金などに対する大統領の考えを読むことに多くの時間を浪費しなければならなかった。
また、内閣と大統領府首席いずれも所属省庁の元官僚が起用されたため、大統領府と省庁の役割が重なることも指摘された。安定的に大統領府が運営されるものの、省庁を促して大統領の国政哲学を実践しようとする意志が弱く、成果を出すことができなかった。
李明博(イ・ミョンバク)政府で大統領国政企画首席を務めた郭承俊(クァク・スンジュン)高麗(コリョ)大学教授は、「大統領府は内閣と違って大統領のために戦死も辞さないと思う人を布陣させなければならない」とし、「特に政権初期には大統領府が官僚が嫌がる改革作業をしなければならないため、自分が所属した省庁が嫌がる仕事を好まない官僚が大統領府に多くいることは良くない」と述べた。
朴大統領に直言する大統領府参謀がいないのは、大統領に直言できるほど信頼が十分に築けていないためだという意見も多い。
6・4地方選挙後、大統領府首席と秘書官の改編は避けられないだろう。大統領府もセウォル号事故の収拾で右往左往した責任を逃れられないうえ、内閣だけ人事改編して大統領府はそのままの場合、国家改造の意志も色あせる恐れがある。
専門家たちは、大統領府に国政課題を強力に推進する政策コントロールタワーがなく、大統領1人で政策を取り仕切り、参謀たちは命じられたことだけするように見えると指摘した。
金淇春(キム・ギチュン)秘書室長や庾敏鳳(ユ・ミンボン)国政企画首席が政策指令塔の役割を果たすには経済など実務経験が少ない。2人とも大統領選挙公約の作業に参加していなかった。大統領府関係者は、「大統領府首席のうち大統領のように国政課題についてよく知る人がいないため、大統領に建議することが容易でない」と指摘した。
盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府で大統領政策室長を務めた金秉準(キム・ビョンジュン)国民大学教授は、「政策室長を復活させる必要がある。現体制で行くなら、秘書室長には現政権の政策をよく理解する人がならなければならない」と述べた。
明智(ミョンジ)大学の尹鍾彬(ユン・ジョンビン)教授は、「国会との意思疎通が難しい非政治家出身でなく、新人議員とも意思疎通できる多選議員を政務首席に起用し、大統領の政治的負担を減らす必要がある」とし、「現政権で新設された未来戦略首席も、創造経済のビジョンを示す積極的な役割が見えない」と指摘した。