東部戦線陸軍第22師団一般前哨(GOP)で発生した銃乱射の惨劇は、韓国軍が抱えている構造的な問題とも結びついている。23日、自分のわき腹を銃で撃って自殺を図った直後に取り押さえられたイム兵長は、人性検査で特別管理対象A級を受け、昨年11月にB級に調整されてGOPに投入された。
事件が発生した第22師団だけでも、A、B、C級「関心兵士」が1800人もいる。少子化の影響で入隊者は減り、関心兵士の数が増えているのが現状だ。63万の兵力を維持するには義務服務兵が45万人以上必要だが、2020年の入隊者は約21〜22万人と推算されている。国家の安全保障を考えると大いに憂慮される。
選挙の度に19才以上の若者の票を得ようと政界のポピュリズム公約が飛び交う。兵士の服務期間は陸軍基準24ヵ月から18ヵ月に短縮しようとしたのを前政府で21ヵ月にした。先の大統領選挙でも、与野党候補は18ヵ月の短縮公約を出した。軍当局は、兵力の需要を正確に計算し、政界の無理な服務期間短縮要求を遮断しなければならない。
構造的に兵力に全面的に依存するGOP勤務の形態にも問題がある。事故が起きた第22師団は休戦ラインの陸上と海岸の警戒をすべて担い、警戒範囲が最も広い。鉄柵の長さが1キロメートル以上で、前哨員40人が24時間警戒することは難しい。東部戦線を管轄する第1軍司令部の兵力は、数年間で1万人近く減った。このような状態で北朝鮮の挑発脅威が増大し、勤務の強度が高まったことも、今回の惨事の一つの原因と見られる。
軍は、最前方GOP師団に敵を監視する監視カメラや鉄柵切断を感知する装備を設置する科学化警戒事業を推進している。しかし、この事業の完了時期は今年の末で、(運営時期は)少なくとも2年後になるという。IT強国の強みを生かすこの事業の完了時期をできるだけ早めなければならない。軍は予算を増やして民間の協力を強化し、兵力削減を補完する最前方の先端警戒態勢を構築する必要がある。
ただ、兵力不足だからといって、イム兵長のように問題がある兵士を重装備させてGOPに勤務させたことは弁解にならない。ある遺族は、「1ヵ月前に兄が『おかしな古参がいる』と言っていた。部隊内で皆知っていたはずだ」と話した。軍当局はこの機に兵士の管理システムの抜本的な改革を行わなければならない。