簡単にはいかないようだ。北朝鮮が9月の仁川(インチョン)アジア競技大会の応援団派遣カードを出したが、同時に挑発の手綱も放さない強弱両面戦術に出た。
北朝鮮は7日、最高レベルの政府声明を通じて、「無謀な敵対と対決の状態を終わらせ、和解と団結の道を開いていかなければならない」とし、「アジア競技大会に選手団と共に応援団を派遣することを決めた」と明らかにした。さらに、この提案は金正恩(キム・ジョンウン)労働党第1書記の祖父である金日成(キム・イルソン)主席が死去前日の1994年7月7日に南北首脳会談関連文書に署名してから20年を迎えて出されたことを強調した。
しかし、北朝鮮は和解のジェスチャーをしながらも、「核は統一の障害ではなく平和と安全のための確固たる担保だ」とし、核放棄の考えがないことを繰り返し強調した。北朝鮮が今年初めから主張してきた「誹謗中傷の中止」、「北朝鮮侵略戦争演習(韓米連合軍事演習)の中止」の主張も再び出してきた。また、「西南戦線海域(西海北方限界線・NLL水域)が脅かされている」(5日労働新聞報道)、「戦いが起これば、敵を海上ですべて滅ぼす」(7日労働新聞報道)など、韓国に対する挑発を示唆する金第1書記の強硬発言も紹介するなど、矛盾した態度を見せている。
朴槿恵(パク・クンヘ)大統領と中国の習近平国家主席の首脳会談も非難の対象となった。北朝鮮は声明で、「北南は外勢依存に反対し、すべての問題を我が民族同士解決していかなければならない。千年万年が経過しても、外勢は民族の利益を代弁できない」と主張した。そして、核を取り上げ、「北南は民族内部の問題に干渉しようとする外勢の不当な行為を一切許さず、共同で対抗していかなければならない」とも主張した。習主席が北朝鮮よりも先に韓国を訪れ、北朝鮮の核開発に反対する考えを明らかにしたことに対して不満を示したと見える。
北朝鮮は応援団派遣の考えを明らかにし、「従北清算騒動で反共和国敵対意識が鼓吹される異常な事態を一日も早く終息させなければならない」と主張した。
政府は、北朝鮮の応援団派遣を国際競技の慣例によって受け入れる方針だ。しかし、北朝鮮の声明に対しては「非合理的な主張」と見ている。応援団派遣と北朝鮮声明を分けて対応する考えだ。金義道(キム・ウィド)統一部報道官は、「一方的な主張を相手に強要したり責任を転嫁しようとする態度では、いかなる問題も解決できない」とし、「北朝鮮の核が統一や南北関係の改善の障害ではなく民族の平和と繁栄を保障するという主張は納得できない」と述べた。
政府関係者は、北朝鮮の最近の動きについて、「北朝鮮を圧迫し韓国と接近する中国の動きに不快感を表わし、南北関係の改善に北朝鮮自身が努力していることを示すことで、これに応じない場合、軍事的衝突の責任を韓国に転嫁しようという和戦両面戦術と見える」と説明した。金第1書記が軍事訓練を視察して対南強硬発言をしたのが、先月30日に国防委員会名義の特別提案で南北関係改善を主張した直後という点も、このような解釈を裏づける。