［社説］朴熺太元国会議長のスキャンダル

朴熺太（パク・ヒテ）元国会議長が、あるゴルフ場で女性キャディにセクハラをした疑いで物議に醸した。被害者は、朴氏が体を触って、数回セクハラしたと主張した。朴氏は、「孫娘のようで可愛いと示しただけで、度は越えていない」と疑惑を否定した。しかし、セクハラは加害者の考えが重要なのではなく、被害者の考えが第一の考慮要素だ。釜山（プサン）高等検事長を務めた朴氏は、政界に入って当選６回を果たし、ハンナラ党代表、国会議長まで務めた。政治の場を離れたとは言っても、政権与党の代表と立法府の首長まで務めた政治家が、口にするのもきまりの悪いスキャンダルに包まれたことは残念だ。

被害女性と朴氏の主張を総合してみると、セクハラがあったことは明らかなようだ。過去には、金があって権力のある男がサービス産業の女性職員にその程度のセクハラをしても通じた時代もあった。しかし、今は時代も変わり、過去の基準で見ても行き過ぎている。セクハラをする人はいたずらと考えるかも知れないが、受ける立場では耐え難いと思ったから告訴までしたのだろう。

過去には問題なかった慣行としてやり過ごせたことが、今は問題になる世の中だ。朴氏は２００８年、国会議長在任当時、ハンナラ党代表選挙に出馬し、所属議員に金の入った封筒を渡したことが明らかになり、懲役８ヵ月、執行猶予２年を言い渡された。朴氏は、封筒を渡すことが慣行だったと主張した。しかし、過去の慣行が今は犯罪になり、朴氏もそのために刑事処罰を受けた。

尹昶重（ユン・チャンジュン）氏は大統領府報道官として駐米韓国大使館の女子大生インターンにセクハラをし、現地で職位を解かれた。尹氏は最初はセクハラを頑なに否定したが、事実と確認され、大恥をかいた。過ちを犯したなら、正直に認めて被害者に謝罪することが恥をさらさない方法だ。被害者は加害者が元国会議長とは知らなかったという。高級公職を務めた人は、現職時はもちろん辞任しても、身の振り方が悪ければ他人の話題になり、後ろ指を差されることになる。