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[オピニオン]ピケティの韓国私教育費への警告

[オピニオン]ピケティの韓国私教育費への警告

Posted September. 22, 2014 08:59,   

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フランス・パリ経済大学教授、トマ・ピケティの著書「21世紀の資本論」は、豊富な文学作品を事例としてあげている。最も頻繁に登場する作品は、オノレ・ド・バルザックの「ゴリオ爺さん」だ。貪欲で浅はかや2人の娘に利用されるばかりのゴリオ爺さんと、成功のために、その娘に近づく田舎の貴族青年・ラスティニャックの物語だ。ピケティは、英作家・ジェーン・オースティン(1775〜1817)が、当代に感じた不平等と現代の不平等とを比べながら、不平等の構造が全く改善されていないことを説明している。

◆米紙フォーブスの集計によると、10年韓以上財産でトップについているビル・ゲイツの財産は、1990年から2010年にかけて、40億ドルから500億ドルへと膨らんだ。生まれて一度も働いたことのないロレアルの相続女・リリアン濡・べタンクールの財産も、同期間、20億ドルから250億ドルへと膨らんだ。ピケティが、憤りをぶちまける対象は、ゲイツではなく、べタンクールだ。富の親譲りを食い止めるための彼の解決法は、グローバル富裕税と共に、意外なことに、公教育の強化だ。

◆彼は、東亜(トンア)日報とのインタビューで、急増する韓国の私教育費が、教育不平等を深刻化させる原因だという。2013年基準の国内私教育費の総額は18兆6000億ウォンと、1人当たりの平均は23万ウォンだ。実際の金額は、これより一際多いが、より大きな問題は、富裕層であるほど、私教育費の支出が多いことだ。今や、教育が階層移動の梯子ではなく、富の親譲りのための手段に変ってきている。

◆韓国での富の親譲りを断ち切るためには、低所得層も良質の教育を受けることができるよう、公教育を拡大すべきだと、ピケティは語る。残念なことに、朴槿恵(バク・グンへ)政府の教育政策は逆方向に進んでいる。高校無償教育の2400億ウォンと小学校の学童教室の6600億ウォン、ヌリ過程の2兆1545億ウォンが、来年の予算に反映されなかった。投資比効果の大きなヌリ過程を無くし、大学授業料半値引き下げの予算は盛り込んだ。ピケティの経済モデルが、韓国に適しているかどうかを巡り、議論が盛んだが、少なくとも、韓国教育へのアドバイスだけは、耳を傾けるべきくだりだ。

鄭星姬(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com