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[オピニオン]釜山映画祭を揺さぶる「ダイビングベル」

[オピニオン]釜山映画祭を揺さぶる「ダイビングベル」

Posted October. 03, 2014 03:13,   

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旅客船セウォル号の救助現場で一騒ぎを起こした「ダイビングベル」が、昨日開幕した第19回釜山(ブサン)国際映画祭でも議論を呼んでいる。ダイビングベルは、4月、セウォル号沈没の現場で、「20時間連続して作業ができる」希望の潜水装備と紹介されたが、とんでもない失敗で終わった後、その姿を消した。このドキュメンタリーは、当時、彭木(ペンモク)港でダイビングベルを積極的にPRしたイ・サンホ元MBC記者などが、その過程を撮影して、77分の物に作ったという。

◆イ氏などがドキュメンタリーを撮ろうと、映画を制作しようと、本人の自由だが、映画祭側が、わざわざこのドキュメンタリーを、招待作品に選んだのは、理解できない。ハプニングのレベルを超え、「国民への詐欺」として幕を閉じた出来事を素材にして作った映画は、「19年の伝統を持つ国際映画祭」というレベルにもあわない。開催地・釜山市の徐秉洙(ソ・ビョンス)市長は、上映反対の意思を表明した。セウォル号の一般人遺族らも、「ゴールデンタイムの救助時間を浪費したダイビングベルのドキュメンタリー上映は、遺族の胸に釘を刺すことだ」と、上映中止を求めたが、主催側は、びくともしない。

◆11日までに開かれる今年の釜山映画祭の公式フェイスブックのイメージは、セウォル号の黄色いリボンだった。映画関係者1123人は今日、「真相調査委に、起訴権や捜査権を与えたセウォル号特別法を制定すべきだ」と求める宣言を発表する。監督の金基鄹(キム・ギドク)や朴贊郁(バク・チャンウク)、俳優の宋康昊(ソン・ガンホ)やキム・へス、文素利(ムン・ソリ)などが参加したという。それに先立って、一部の映画関係者は、セウォル号遺族らの光化門(クァンファムン)の座り込み会場で、同調ハンストを行ったりもした。「ダイビングベル」の上映が、偶発的に行われたことではないことを、伺うことができる。

◆そのため、今年の釜山映画祭は、開幕作と閉幕作などの映画祭本来の作品が、関心から離れてしまった。表現の自由は尊重すべきだが、作品の質や品格が重要だ。今年の光州(クァンジュ)ビエンナーレは、ホン・ソンダム氏が、朴槿恵(バク・グンへ)大統領を案山子に喩えて描いた「セウォルオウォル」という作品を出品したが、光州市が問題を提起すると、鶏に描き直して、光州ビエンナーレに提出したが、結局、展示が見合われた。政治色に染まった文化芸術イベントは、光を失わざるを得ない。国際的に定着した釜山映画祭という念を入れて築いた塔が揺らぐことが無いことを願う。

洪贊植(ホン・チャンシク)首席論説委員 chansik@donga.com