検察が、「オンライン名誉毀損厳罰」方針を明らかにしたことで、「サイバー亡命」が急増している。「個人の会話を検察が見ることができる」という憂慮が広がり、インターネット・メッセンジャーの「カカオトーク」からロシアのテレグラムなどの海外サービスに乗り換える人が増えた。テレグラムの利用者は、1週間に1日2万人から25万人に10倍急増した。ついにダウムカカオが、「対話内容の保存期間を5〜7日から2〜3日にする」と発表するに至った。
今回の事態は、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が先月16日、「大統領に対する冒とく的な発言が度を越えている」と述べたことで始まった。2日後、検察は、「サイバー上虚偽事実流布犯の厳正対応」方針を明らかにし、専門の捜査チームを作った。ネットユーザーが大挙してサイバー亡命を始めると、検察は「メッセンジャーのようなプライベート空間ではない」と鎮火に出た。しかし、警察がチョン・ジンウ労働党副代表のカカオトークのアカウントを押収して捜索した事実が明らかになり、再び「サイバー引越し」が起こっている。
ネット上の言葉の暴力と名誉毀損は、健全な常識を持つ人が耐えられないほど深刻なのは事実だ。しかし、大統領の一言にすぐに検察が立ち上がって、表現の自由とプライバシーの侵害論議を呼ぶことは、自由民主主義国家として恥ずべきことだ。カカオトークとは、ユーザーが1億5000万人、1日のメッセージ件数が60億件だ。一つ一つモニタリングすることも大変で、法を犯していない人々は、捜索を恐れる理由はない。にもかかわらず、普通のネットユーザーまで海外サービスに移るのは、検察と政府に対する不信のためだ。
テレグラムは、ドイツにサーバーを置くロシア産メッセンジャーだ。対話の内容が一定時間後に「自動爆破」され、セキュリティ性が高い。サーバーが外国にあるので、捜索される心配もない。テレグラムは、主に言論の自由の指数が低い国々で人気を呼んでいる。韓国、ウズベキスタン、ブルネイ、マレーシアなどだ。憲法裁判所は2012年、インターネット実名制に対して全員一致で違憲決定を下した。悪性コメントやデマなどを防ぐという立法趣旨は妥当だが、表現の自由を侵害してはならないという理由だ。「上の考えをおもんばかる」検察の行き過ぎた態度は、国内業者を苦境に陥れ、海外業者だけを喜ばせている。