全国市道教育監協議会は、「来年度の保育所の保育料予算(2兆1429億ウォン)を、全額編成しないことにした」と明らかにした。3〜5歳の児童の教育や保育を支援するヌリ過程の予算3兆9284億ウォンのうち、幼稚園教育を除く無償保育支援の打ち切りを宣言したのだ。来年の保育所入所対象人数は62万人だ。崔鍫煥(チェ・ギョンファン)経済副首相兼企画財政部長官は昨日、「教育監関係者が、国民や子供を人質に、政府を脅かしている」と批判した。
政治圏のポピュリズムによる無償政策の拡大が、いたるところで破裂音を出している。先月、全国市長・郡守、区長協議会が、国費の支援がなければ、「福祉デフォルト(債務不履行)」を宣言すると明らかにしたのに続き、教育監関係者が動き出した。ヌリ過程、高校無償教育、学童教室は、朴槿恵(バク・グンへ)大統領の教育福祉の3大公約だが、来年度の教育予算には全く反映されていない。教育監達は、「保育」を担当する保育所は、保健福祉部所管であり、自分らの領域ではないと主張している。
財政状況を考慮しない無理な公約のため、政府や自治体、教育庁の間で、責任を擦り付け合う「爆弾回し」が始まった。ばら撒き性福祉政策の乱発が招いた結果だ。10年の教育監選挙では、全面的な無償給食公約を掲げて、進歩性向の教育監6人が当選となった。11年の大統領選挙を控えた時、最大野党の新政治民主連合の前身である民主党は、無償給食や無償保育、無償医療の「3無政策」を打ち出した。12年の大統領選挙では、朴槿恵と文在寅(ムン・ジェイン)候補は、全面的無償保育を約束した。しかし、予算対策の無い福祉拡大は、借金に帰さざるを得ない。12年の全国教育庁の債務総額は、計14兆429億ウォンだ。1年間の総歳入予算額の26.8%に上る。
限られた予算で、優先順位を調整することの方が急務だ。11年から始まった無償給食は、教育財政のブラックホールとなっている。金持ちの子供か貧乏な子供かを問わず、全ての子供に無料で昼食を提供したため、脆弱階層の児童生徒への支援や古い学校施設のメンテナンスなどの予算は、大幅に削減された。福祉支出の増加による財政負担が悩みなら、普遍的無償福祉を根本から見直すべきだ。階層間の機会均等を保障するため、低所得層への支援強化どころか、中上流層家庭の子供らにも無料で食事をするために、支援の必要な低所得層子供らの分まで、奪ってはならない。
ノーベル経済学賞受賞者のシカゴ大学のジェームズ・ヘックマン教授は、高校と大学教育に投資する費用を、低所得層家庭の0〜5歳の幼児支援に使ったほうが、社会発展により役立つと強調した。持続可能でない普遍的無償福祉公約の素顔が明らかになった今、福祉政策の根本的な解決策について考えるべき時期に来ている。