大韓赤十字社の金聖株(キム・ソンジュ)総裁が、国政監査に出席せず、「回避出張」論議が起こっている。金総裁は21日、国際赤十字社連盟のアジア太平洋地域会議に出席するために中国に出国した。この会議の高官級会談は25日に開かれる。野党新政治民主連合の金成柱(キム・ソンジュ)議員は、国会証言鑑定法によって、金総裁を検察に告発すると明らかにし、波紋が大きくなっている。金総裁が、国政監査より国際会議を優先したとすれば政務判断に問題があり、「回避出張」をしたとすれば、国会無視、国民無視に当たる。
聖株グループ会長である金総裁は、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が大統領選候だった時、選挙対策本部長になって政界にデビューした。「私は財閥左派」という発言のように突飛なスタイルで、朴候補の高踏的なイメージの改善に役立った。元首相や長官が大韓赤十字社総裁になる慣例から見ると、企業家出身の金聖株氏が大韓赤十字社総裁に任命されたのは、朴大統領が借りを返す論功行賞人事と見ることができる。
新政治民主連合が金総裁を呼んで、論功行賞人事かどうか質すのは、天下り人事を追及する政治攻勢の面が強い。韓国観光公社のジニ・ユン監査のように、恥をさらさせるという意図もある。にもかかわらず、金総裁が国政監査に出席しなかったのは、非常に残念だ。まず、金総裁が出席する国際会議が国政監査よりも重要だったのかについて疑問がある。この国際会議がそれほど重要だったなら、事前に保健福祉委所属の国会議員に十分に説明し、了解を得るべきだったが、欠席理由書を1枚出して、逃げるように出国した。
金総裁は23日になって、「今後の韓半島状況と関係し、大変重要な4年に1度の赤十字総会の関係で(欠席した点を)了解してほしい」と議員にメールを送ったが、傲慢な振る舞いに映る。総裁は一般の証人ではなく、被監査機関の証人であり、出席しなければならない義務がある。金総裁がこの5年間、大韓赤十字社の会費を1円も払っていないことについても、国政監査で誠実に答える義務がある。
赴任したばかりの総裁が自分の予定に合わせて国政監査の日程の調整を求めることは、国会を無視する行動だ。企業家である金総裁が、まだ公人としての心構えがないのか、朴大統領を信じて傲慢に振舞っているという批判を受けるに値する。金総裁の軽率な振る舞いによって、純粋な奉仕団体である赤十字社まで政治論争に巻き込まれてはならない。