保健当局の杜撰な検査規定を悪用して、基準以上の有害性分が含まれた漢方薬を大量に流通させた製造販売業者が検察に摘発された。ソウル北部地検刑事6部(李龍一部長)は12日、カドミウム、鉛、二酸化硫黄などの成分が流通基準の最大111倍以上検出された漢方薬を正常品のように偽って流通させた容疑(薬事法違反)で、国内最大手の漢方薬製造販売業者のトンギョン総合商社の代表理事、キム容疑者(56)、生産本部長のナム容疑者(41)、営業本部長のイ容疑者(41)の3人を拘束し、計13人を起訴したと明らかにした。彼らは、2012年1月から今年10月まで1万6000回、ヤブラン、センキュウ、クコの実などの不良漢方薬263個を65億ウォン分(合計58万2000キログラム)流通させた。
彼らは、製造過程で流通基準に合わない薬剤が生じて発生する損失を減らすために、不良漢方薬を流通させた。食品業者とは違って、漢方薬の製造業者は独自に品質検査を実施し、適合しない結果が出ても食品医薬品安全処など保健当局に報告する義務がない点を悪用して、試験成績書を捏造して不良漢方薬を正常品のように偽った。この業者が製造したヤブランは二酸化硫黄の成分数値が3340ppmあり、流通基準(30ppm)の111倍だったにもかかわらず、正常品として流通していた。試験成績書には1ppmと記載されていた。単子葉植物のヤブランは、消炎・咳止め・去痰剤や強心剤として使われる薬剤だ。
トンギョン総合商社は、代表理事、生産本部長、営業本部長をはじめ営業チーム長まで参加する「戦略経営委員会」を定期的に開き、犯行を準備した。刑事事件になった場合、生産本部長のナム氏が責任を負うことで事前に対応を決めていた。
彼らは、摘発された場合に行政処分を回避するために、零細製薬会社4社の製品のようにして不良漢方薬を流通させた。M製薬、J製薬など零細製薬会社は、包装紙を提供する見返りの数千万ウォンを得るために犯行に加担した。4社のうち廃業した1社を除く残り3社の代表も、起訴された。これに先立ち、食品医薬品安全処は先月、トンギョン総合商社など4社が製造販売したすべての漢方薬の使用を暫定的に中止するよう措置し、検察は業者を家宅捜索するなど、捜査に着手した。
検察関係者は、「薬事法上の品質の独自検査制度が改善されるよう食品医薬品安全処に関連資料を提供し、品質検査試験成績書を捏造する場合、刑事処罰を受けるよう法務部に立法提案した」と明らかにした。