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[オピニオン]ニセ女医師の演技性パーソナリティ障害

[オピニオン]ニセ女医師の演技性パーソナリティ障害

Posted January. 03, 2015 07:16,   

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宮部みゆきの同名小説『火車』を映画化した作品だ。主人公のチャン・ムンホは、突然いなくなったフィアンセ、ソンヨンを探しているうちに、彼女の名前、経歴、住民登録番号まですべて他人のものであることを知った。幼い頃、父親の借金取りに苦しんだフィアンセは、ソンヨンを殺害し彼女になりすまして生きてきた。チャン・ムンホに偽りの人生がばれることを恐れたフィアンセは、鉄道に転落して悲劇的な死を迎える。

◆映画のようなことが実際に起きた。パク氏は34才だった2011年、自分を資産家の娘で、ソウル大学病院の産婦人科医だとだまして夫と結婚した。パク氏は結婚すると、夫の車を外車に買いかえ、病院では名札がついた医師のガウンを着た。2人に娘が産まれた。完璧に見えた家族の暮らしはある日、パク氏が幼い娘と姿を消したことで壊れた。

◆いなくなった妻を探していた夫は、妻のすべての人生が偽りだったことを知る。結婚式の祝い客はもとより、結婚式に来ていた新婦の両親も妻が金を渡して雇った代役だった。ソウル大学の学歴やソウル大学病院の医師という経歴も嘘だった。さらにあきれたことに、知らない間に姉がパク氏に5億ウォンもの大金を債権投資金として渡していたという事実だった。家政婦やマンションの警備員など周囲でお金を踏み倒された人が8人もいた。パク氏は返しては借りる行為を繰り返し、詐欺が限界に達すると、『火車』の主人公のように姿を消してしまった。

◆常習的な嘘で詐欺行為をしたパク氏に対して、ソウル中央地裁が懲役5年を言い渡した。監獄で娘と暮らすパク氏は、善処を訴える反省文を6度も裁判所に出したが、重刑を免れることはできなかった。口を開けば嘘で、裁判にかけられた状態でも詐欺を働いていたので、反省文が本心なのか信じられないのは当然だ。パク氏のように関心を引くために嘘を日常的に行い、最後には本人も嘘なのか真実なのか分からなくなる病理現象を演技性パーソナリティ障害と言う。「人を騙すにはまず自分から」と言うが、パク氏がまさにそのケースのようだ。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com