2018平昌(ピョンチャン)冬季五輪のために江陵(カンルン)に建設中のアイスホッケー競技場は、1079億ウォンの工事費がかかるが、五輪が終われば撤去される。人口20万人の江陵では、維持するのが難しいからだ。撤去費用だけでも、余計に1000億ウォンがかかる試算となっている。200億ウォンの費用で、ソウル木洞(モクドン)のアイスリンクを活用すれば、大金を節約することができる。同様に、江陵に1311億ウォンをかけて建設されるスピードスケート競技場は、ソウル泰陵(テルン)のスケート場を活用すれば、400億ウォンで十分だ。環境破壊の議論を招きながら、事業費や修復費に2190億ウォンを使う旌善(チョンソン)の滑降競技場もまた、1997年の冬季ユニバーシアード大会が行われた茂朱(ムジュ)リゾートを活用すれば、300億ウォンで可能だ。
最近訪韓した国際オリンピック委員会(IOC)のグニラ・リンドベリ調停委員長と趙亮鎬(チョ・ヤンホ)平昌組織委員長は記者会見で、「平昌五輪は、現在計画された場所で開くことを決めた」と明らかにした。しかし、リンドベリ委員長は、「競技場の事後活用については明確にすべきだ」という条件を強調した。オリンピックの遺産は最大化するものの、そのコストは最小化すべきだというのが、最近のIOCの方針だ。
12兆ウォンを超える国の財政がつぎ込まれる平昌五輪が、借金だらけの五輪の代表事例として記録されることになれば、国や江原道(カンウォンド)の悲劇だ。7000億ウォン以上の費用を払わされる江原道は、借金に喘ぐことになり、その負担は道民に回って未来世代の不幸になりかねない。新設が必要な6つの競技場は、招致申請書の着工予定日より2年半も遅れた昨年下半期に着工し、現在の工程は10%弱に過ぎない。今からでも工事を中止し、新たな道を模索するのが現実的だ。
平昌五輪を日本と共同開催することは現実性が無いが、国内で分散開催するのは、出口戦略になりうる。IOCが分散開催如何についての通知を要請した期限は、今年3月までだ。朴槿恵(パク・クンへ)大統領は昨年12月、日本との分散開催論について、「不可」の立場を明らかにした。国内での分散開催も早急に決断する必要がある。江原道や地元の国会議員たち、趙亮鎬組織委員長は、国や地域のための選択が何かを深く考え、責任ある姿勢を示すべきだ。