SBSドラマ「噂で聞いた」は、上流社会の偽善を取り扱ったブラックコメディーだ。役者らの好演と共に、大手法律事務所の代表が住む宮殿のような自宅が話題となっている。古風な韓国伝統家屋と洗練した西洋風家屋とを融合させたような屋内スペースは、単なる背景以上の役割を果たしている。主人公は成金ではなく、子々孫々富と名誉を享受してきた「世襲貴族」であることを象徴している。
◆実際、富裕層が集まる韓国の代表的リッチタウンはどこかと問うならば、テレビドラマからヒントを得ることができる。「鋻潭洞(チョンダムドン)スキャンダル」や「狎鷗亭(アプクジョン)白夜」などのドラマでは、最初からタイトルで町の名に触れている。身分を超越した愛を題材にしたドラマでは、「城北洞(ソンブクドン)です」、「漢南洞(ハンナムドン)の奥様から電話です」などの台詞が登場人物の身分を表している。城北洞や漢南洞は、大手企業会長の一戸建て住宅が位置している伝統的なリッチタウンとして依然有名だ。
◆1990年代に入って、ソウル江南(カンナム)の大規模なマンション団地や住商複合マンションが、新興リッチタウンとして浮上した。東亜(トンア)日報がソウルの団地ごとのマンションの専用面積の平均価格を調査した結果、「リッチタウンの地図」のトップクラスに変化が生じた。2005年には1位と2位だった開浦洞(ケポドン)や大峙洞(テチドン)が10年ぶりに、狎鷗亭洞(アックジョンドン=1385万ウォン)や盤浦洞(バンポドン=1339万ウォン)に押されて、3位と5位に下がった。リッチタウンの順位が4ランク上昇した盤浦洞の場合、「レミアンファーステジ」や「盤浦ザイ」などの団地が、小さな新都市を形成して、平均価格を引き上げた。
◆この4年間、ソウルの人口は年平均5万人ずつ減っている。この傾向が続くことになれば、来年末や2017年初頭の「住民登録上の人口1000万人」時代は崩れることになるという。住宅価格の負担は、脱ソウルの原因の一つだ。国土交通部が今年4月に発表した「2014年度の住居を巡る実態調査の結果」によると、昨年、高所得層の住宅保有比率は上昇したものの、低所得層や中所得層の住宅保有比率は下がった。住居の格差は、教育や職業、そして所得の格差へと繋がる可能性が高い。庶民の町にも快適な住居環境を作るための社会的努力が必要だ。住居の二極化をこのまま放置すれば、階層移動や進入の障壁になりかねない。
高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com