22日、与野党が公務員年金改革案の処理とともに、国民年金所得代替率を含む「公的年金の強化と老後貧困の解消に向けた社会的機構」(社会的機構)の構成の一括妥結を図ることで合意した。
年金改革実務機構共同委員長の金龍夏(キム・ヨンハ)、金淵明(キム・ヨンミョン)教授など専門家約10人は、与党セヌリ党の趙源震(チョ・ウォンジン)と野党新政治民主連合の姜鏻正(カン・ギジョン)議員が暫定合意した社会的機構の規則案に関する意見を26日までにまとめる。27日までに一括妥結が実現すれば、28日の本会議で年金改革案と社会的機構構成案が同時に処理される予定だ。
今回の公務員年金の合意で得るものがあるとすれば、「社会的合意機構」に対する教訓を得たことだ。改革の対象が改革の主体として参加する社会的機構を通じて、正しい改革を行うことができないということだ。振り返れば、公務員年金改革であれ労働改革であれ、大妥協によって構成された機構に妥協の余地があまりなかった、「社会的合意」という美辞麗句の下、既得権勢力は譲歩ではなく利害得失に没頭した。
公的年金の社会的機構がスタートするとしても、参加主体の代表性が論議となりかねない。国民を代表する機構とはかけ離れた政治闘争の場にならないか憂慮される。国会と政府は、「社会的機構」の落とし穴から脱しなければならない。国民を代表する立法機関があらゆる特典を享受し、問題は社会的合意機構に押し付けるなら、国会の責務を自ら否定することも同然だ。政府も「社会的合意」という大義名分に執着してはならない。いつまで社会的機構を使って無責任に逃げ腰でいるのか。
最近訪韓したドイツのシュレーダー前首相は21日、「改革について議論する時、抽象的段階では誰も反対しないが、具体的に実行する段階で利害関係者の抵抗が強くならざるを得ない」とし、「労使合意がなされない場合、政府が案を作成して改革を推進しなければならない」と強調した。2003年に「アジェンダ2010」を宣言したシュレーダー前首相は、政府主導で労働と年金を俎上に載せた。人気のない改革が「欧州の病人」と呼ばれたドイツの経済復興をもたらしたものの、シュレーダー前首相は総選挙で敗北した。しかし、政権を失っても国家のために必要なことをすることが真の政治家のリーダーシップであることを知らしめた。
改革は既得権勢力の放棄と譲歩が前提になる時、強い推進力を持つ。社会的合意という美名の下、既得権勢力の利益守護を容認するなら、改革は漂流せざるを得ない。利害集団の意見を聴き、共感を形成することは必要だが、最終的に改革の主体は政府と国会であることを記憶しなければならない。社会的機構は国民の代表ではない。その中に国民の利益を守る代表もいない。