ミャンマーは、世界の仏教信者が聖地巡礼のために訪れる仏教国だ。この国の3大黄金宝物の一つであるマハムニ仏は、顔を除いて全身が金箔で覆われ、本来の姿を知ることが難しいほどだ。寺院を参拝する人がマハムニ仏に金箔をはり付けるためだ。最高の寄付は、最も価値があり、大切なものを差し出すこだと信じられたことによって始まった伝統だ。
◆今日は陰暦4月8日。ソウル曹渓寺(チョゲサ)をはじめとする全国の寺院に五色の燃灯が花のように灯った。釈迦の生誕を祝う行事として毎年、燃灯祭りは欠かせない。燃灯は、欲と無知によって混濁した世の中を釈迦の知恵で明るくすることを象徴している。仏像に金箔をはり付けることも、燃灯を灯すことも、釈迦を供養する方法の一つだ。
◆仏教は、慈悲の力を強調する。チベットの高僧ダライ・ラマは、他人を尊ぶ心が慈悲だと定義する。他人に同情心を持ったり、自分より劣ったと見るのではなく、自分よりも他人を大切にする心だ。ダライ・ラマによると、真の慈悲と執着は異なる。自分に近い人に与える慈悲と愛は実は執着である場合が多い。友であれ敵であれ、すべての衆生と生命体を同等に見ること、相手が自分にどのような態度を取ろうとその人を心配する心を持つことが、まさに真の慈悲の出発点ということだ。
◆このような境地に普通の人が至ることは容易ではない。しかし、誰でもたやすく慈悲の心を実践する方法がある。物質的な寄付でなく、心でする布施、すなわち「無財七施」だ。何もなくても他人に与えることができる7つの方法をいう。やさしい眼差しで見つめ、にこやかな顔で接し、温かい真心で配慮し、謙虚に話し、親切な振る舞いで他人を助け、席を譲り、安らかに休む空間を提供することだ。宗教を離れ、このように単純で素朴な教えの種が広がるなら、世の中は今より心休まる場所になるだろう。
高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com
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