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[社説]生きた炭疽菌を送付、米国防相の謝罪で終わることではない

[社説]生きた炭疽菌を送付、米国防相の謝罪で終わることではない

Posted June. 01, 2015 07:17,   

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米国のカーター国防長官が30日、シンガポールで行われた韓民求(ハン・ミング)国防部長官との会談で、在韓米軍烏山(オサン)空軍基地に生きた炭疽(たんそ)菌が送付された事件について謝罪した。カーター長官が今回の事件に対して「責任ある措置」を取り、再発防止に向けて努力すると約束したことは、事の重大さを考えると当然だ。しかし、カーター長官が謝罪したからといって米国が韓国に事前の通知なく致命的な炭疽菌を持ち込んだことを見過ごすことはできない。炭疽菌といった韓国国民の生命と健康に深刻な影響を招きかねない危険物質を米軍が送付する際、統制と管理にどのような問題点があるのか、しっかりと確認し補完する必要がある。

在韓米軍司令部は、「炭疽菌サンプルの実験は初めてで、毒劇物と病原菌の識別能力を高めるためのものだった」と説明した。しかし、米国のメディアは、ユタ州のダグウェイ実験場で、昨年3月から1年以上、米9州の18の民間や大学の研究施設と在韓米軍基地に生きた炭疽菌サンプルを誤送付したと報じた。疑惑が残らないよう真相を明らかにしなければならない。炭疽菌実験施設を備えていることが明らかになった烏山基地で、どのような実験と訓練を実施しているのか、韓国は主権国として当然知る必要がある。

在韓米軍地位協定(SOFA)は、在韓米軍が危険物質を持ち込む場合、疾病管理本部に通知するよう規定している。にもかかわらず、在韓米軍はこれまで持ち込まれた炭疽菌のサンプルが不活性化状態だったとの理由で通知しなかったという。在韓米軍は今回、国際宅配会社フェデックスを通じて炭疽菌サンプルを受け取った。しかし在韓米軍地位協定により、米軍に託送された軍事貨物に対しては税関検査が行われないため、政府は米軍が任意に危険物質を持ち込んでも把握できない。韓米が緊急に開かれた在韓米軍地位協定合同委で、真相調査とは別途に、在韓米軍地位協定の規定で改善する事項はないのか検討する必要がある。

炭疽菌は100キログラム散布する場合、最大で300万人にのぼる死者を出すほど致命的だ。北朝鮮が保有する5000トンの生物兵器にも炭疽菌が含まれていると推定され、これに備えることは必要ではある。しかし、そのように危険な炭疽菌が韓国政府も知らずに持ち込まれるなら、韓米同盟が健全に作動していると見ることはできない。炭疽菌以外の生物兵器の原料も持ち込まれていないのか徹底した検証を望む。