「浦項(ポハン)製鉄(現ポスコ)は、先祖の血で建設された」。韓国の鉄鋼王、朴泰俊(パク・テジュン)元浦項製鉄会長がこう言っていた。国内資本もなく、海外から金を借りることも難しかった1960年代、浦項製鉄は対日請求権資金の一部でできたためだ。「産業のコメ」である鉄鋼を生産することで、韓国は200年遅れて産業革命を始めることができた。韓国が、英国、米国、日本に続いて製造業強国になるのに、鉄鋼産業が強固な土台となった。
◆22日に韓日国交正常化50周年を迎えた。1965年に結ばれた韓日協定は、屈辱的な協定という批判がついてまわった。日本は3年間占領したフィリピンに「戦争被害補償金」として8億ドルを支払った。一方、35年間も植民支配した韓国には、「経済援助」形式で3億ドルの借款を含め6億ドルを与えた。フィリピンはサンフランシスコ講和条約に参加し、韓国と国際的地位が違うというのが金鍾泌(キム・ジョンピル)元首相の主張だ。韓国はその金を資金の一部として「漢江(ハンガン)の奇跡」を果たした。フィリピン、ミャンマーなどが賠償金をあいまいに使って経済跳躍の機会を逃したことと比較すると、韓国は自負心を持つに値する。
◆日本も、韓国の経済成長を通じて多くの利益を得た。韓国が輸出主導の成長をする間、日本は部品や機械を売って莫大な貿易黒字を出した。50年間の韓国の日本に対する貿易赤字は5164億ドル(約576兆ウォン)にのぼる。韓国は経済規模が50年前の30億ドル(国内総生産)から1兆3000億ドル(2013年)に400倍近く増えた。しかし、日本に比べれば、3分の1にも及ばない。
◆日本は古代以来、韓国から学んだ国だったが、韓国が学ぶ国に立場が変わって久しい。安倍晋三首相が政権に就いて以降、日本は隣国に対して歴史歪曲と退行的行動を繰り返している。国益のために協力することは協力すべきだが、植民地の辛い過去を忘れることはできない。謝罪せずにやり過ごそうとする日本に勝つには、日本より豊かになること、日本より強い国になることだ。
申然鐏(シン・ヨンス)論説委員 ysshin@donga.com
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