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ユダヤ人児童669人を救った「英国のシンドラー」が死去

ユダヤ人児童669人を救った「英国のシンドラー」が死去

Posted July. 03, 2015 07:26,   

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第2次世界大戦直前、ナチス治下のチェコスロバキアで、ユダヤ人児童669人を救った「英国のシンドラー」ニコラス・ウィントン氏が1日、死亡した。享年106才。遺族は、ウィントン氏の娘バーバラと孫に看取られ、静かに息を引きとったと明らかにした。

英国のユダヤ人家庭で生まれたウィントン氏は、ロンドンで株式仲介人として働き、1939年、友人に頼まれてチェコのユダヤ人難民収容所を訪問する。ここでウィントン氏は戦争の危機を直感し、ユダヤ人児童を英国に送る。当時、ウィントン氏は自分の全財産をはたいて新聞に広告を出し、子どもを引き取る英国の委託家庭を探した。必要な書類が十分でない子どもを送るために英国の税関当局にもかけあった。

こうして、ウィントン氏が1939年3月から8月まで、8便目の列車で英国に送った児童は計669人。同年9月1日、250人の児童を乗せた9便目の列車は、プラハを発つことができなかった。第2次世界大戦が勃発したためだ。その列車に乗った子どもたちの生死は確認されていない。ユダヤ人収容所に連行されて死亡したと推定される。第2次大戦が勃発すると、ウィントン氏は英国空軍に入隊した。

子どもたちを死なせた罪悪感で、ウィントン氏は戦後、自分の善行を誰にも話さなかった。しかし1988年、妻のクレタ氏が屋根裏部屋の古い書類がばんから、ウィントン氏の日記や子どもたちの名前が書かれた名簿、子どもたちの手紙などを発見し、世間に知られることとなった。その時まで、ウィントン氏は妻にも過去のことを話さなかった。

ウィントン氏はその後、メディアとのインタビューで、「適切な時に適切な場所にいただけだ」とし、1100人のユダヤ人を収容所から救出したドイツ人、オスカー・シンドラーと自分を比較しないように言った。シンドラーのように命までかけて冒険したわけではないということだった。ウィントン氏はノーベル平和賞候補に3度も推薦され、2003年、英国王室から騎士の勲章を受けた。ウィントン氏は1998年、自分が助けた子どもたちと60年ぶりに再会し、大きな話題となった。

英BBCは、「ウィントン氏が息を引き取った7月1日は、彼が最も多い241人の児童をロンドンに救出した日でもある」と伝えた。キャメロン首相はツイッターで、「多くの子どもをホロコーストから救ったウィントン氏の人道主義を忘れてはならない」と弔意を表わした。



zsh75@donga.com