1979年初め、英国人は「不満の冬」を送った。大規模ストで工場の稼動が中断し、汽車や地下鉄が止まった。街にはゴミが溢れ、消防車と救急車があちこちに放置された。労組の顔色をうかがう労働党政権は手をこまねいた。英国人の怒りは同年の総選挙で「鉄の女」マーガレット・サッチャーが率いる保守党の勝利につながった。
◆政権交代に成功したサッチャー首相は、強硬な労組の勢力拡大、放漫な公共部門、過度な福祉が招いた「英国病」にメスを入れた。労働法を改正し、労組に加入した労働者だけを雇用するクローズド・ショップ制を廃し、労組に不当ストの賠償責任を課した。1984年に炭鉱労組が不法ストをすると、9500人余りを連行する超強行に出て、1年で屈服させた。英国首相の中で唯一名前に「イズム」がつくサッチャーイズム改革は「欧州の病人」英国を復活させた。
◆今年5月に総選挙で圧勝し、政権2期目をスタートさせた保守党政権のデービッド・キャメロン首相が、サッチャー元首相後、約30年ぶりに労働界、特に公共労組との全面戦争を宣言した。キャメロン首相は、スト条件を大幅に強化し、ストの際、代替人材の雇用を許可する内容の労働法改正案を発表した。労組費に政治分担金を含める規定をなくし、政界と労組の連結も断つ方針だ。労働党と労働界は反発しているが、キャメロン首相はストの悪循環を断ってこそ新しい跳躍が可能だと強調する。
◆韓国は、戦闘的労働運動が成長と雇用に及ぼす弊害が英国よりも深刻だ。金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府で高官を務めた要人の中からも、「民労総と全教組がなければ先進国入りが早まるだろう」と話す人が少なくない。朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は今年に入って週に1度の割合で労働改革を強調するが、特に進展はない。野党が反対する法案の法制化が難しい韓国政治の構造的限界が分からないわけではない。にもかかわらず、国政最高責任者である大統領と主務長官である李基権(イ・ギグォン)雇用労働部長官、政府与党代表の金武星(キム・ムソン)セヌリ党代表がサッチャーやキャメロンのような決意と力を示せない点が残念だ。
権純活(クォン・スンファル)論説委員 shkwon@donga.com
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