14世紀前半に描かれたと推定される高麗時代の「水月観音図」が東京で発見された。現在、世界で3点しかない「鳳凰模様のヴェール」が描かれた貴重な仏画であることが確認された。
高麗仏画の専門家で、東国(トングク)大学博物館長の鄭宇澤(チョン・ウテク)教授は11日、「日本の個人コレクターが持っていた仏画を東京で鑑定した結果、14世紀の水月観音図であることが分かった」とし、「これまで一度も公開されなかった作品で、展示はもとより論文でも紹介されたことがない」と明らかにした。
水月観音図とは、月が浮かぶ夜に観音菩薩が岩の上に座って善財童子をはじめ大衆に仏法を伝える様子を描いた絵で、現在まで45点だけある貴重な文化財だ。特に、今回発見された水月観音図は、観音の体を覆うヴェールに鳳凰の模様が描かれている。通常、ヴェールには円形の唐草文か円形の菊の模様が描かれるのが一般的だ。鳳凰模様のヴェールが描かれた水月観音図は、日本の鏡神社と長楽寺、ドイツのケルン東洋美術館の所蔵画の3点しかない。
鄭教授は、「観音の前に描かれた淨𨯯とヴェールの部分の絹がはがれているが、観音の顔と本体はほぼ完全だ。特に善財童子が完ぺきに近く残っていることは珍しい」と話した。
今回発見された水月観音図は、横50cm、縦104.2cmの大きさの絹の上に描かれている。観音の顔の輪郭と善財童子の明るい表情からうかがえる細かい描写は逸品だ。観音の顔を金泥(にかわで金の粉末をといてよくまぜたもの)で塗って華やかさを加え、目鼻の輪郭線の周りを赤色で「ぼかし」を入れて立体感を出した。鄭教授は、「一般的な高麗仏画とは違ってぼかしにポイントを置き、観音菩薩の顔の立体感をうまく出した秀作だ」と説明した。
水月観音図の現地調査は、鄭教授の知人の情報で実現した。鄭教授は、米国のロードアイランドデザイン学校(RISD)が所蔵した「結跏趺坐水月観音図」を昨年発見するなど、各国を歩き回って高麗仏画を発掘してきた。
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