「中絶をした女性が深い悔恨の念をもって告解するなら、全司祭に中絶の罪を許す権限を与える」
一時的に中絶女性を許すことができるという1日のフランシスコ法王の表明が、世界的に関心を集めている。この表明の核心は「いつくしみの特別聖年」を迎え、「無原罪の聖マリアの祭日」である今年12月8日から来年の「王であるキリストの祭日」の11月20日まで中絶の罪を許すことができる権限を教区の最高司祭である教区長から司祭までに拡大したものだ。聖年は、カトリック教会で信者にスピリチュアルな特別な恩恵を与える年で、25年ごとにある。聖年は2025年だが、「いつくしみの特別聖年」はこれとは別に法王の権限で特別に宣言されたものだ。
韓国カトリック教会の協議体である天主教主教会議が法王の表明と関連して2日に発表した報道資料によると、教会法上、中絶は生命を殺す行為で道徳律の重大な違反であり、凶悪な罪悪だ。また、中絶と関連した罪は教会法上、自動的に破門によって制裁されることになっている。
カトリック界は、今回の表明は同性愛者、離婚者などに対する教会の包容を強調してきたフランシスコ改革の延長線と考えている。主教会議広報局長のイ・ジョンジュ神父は、「教会が苦痛を受ける隣人に対して先に和解の手を差し伸べたという意味を含んでいる」と述べた。ソウル大教区のあるカトリック教会に通う40代の女性信者は、「避けられない事情で中絶する信者がいるが、このような問題を教会で言及することは難しい。法王が信者の悩みを先に公にし、心の荷を軽くして下さった」と話した。
しかし、今回の表明は、カトリック信者の割合や歴史、文化などを考慮し、布教地域国家に分類される韓国よりもカトリック信仰が普遍化した海外で論議の火種になると見られている。韓国内では例外が認められ、すでに各教区長が司祭に中絶と関連した罪を許す権限を与えた状態だからだ。
大田(テジョン)教区広報局長のハン・グァンソク神父は、「中絶に対する罪の意識が薄い国内のムードとは異なり、カトリックが普遍化した国家では生命倫理に対する意識が徹底している」とし、「一時的だが今回の表明が論議を招く可能性がある」と強調した。
法王庁は、この表明が中絶に対するカトリックの立場の変化と解釈されることを警戒している。ローマ法王庁のロンバルディ報道官は、「中絶が持つ罪の重さを縮小しようということでは絶対ない」とし、「慈悲の領域を一時的に広げたものだ」と明らかにした。
外信によると、米国のあるイエズス会聖職者は、「法王の憐憫と慈悲を強調する政策は、カトリックの変化と見なされる」とし、「伝統主義者らは歓迎しないだろう」と憂慮を示した。
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