大統領府が28日、米国と中国の間で対立が起きている南シナ海問題について、「この地域での紛争は国際的に確立されたルールによって平和的に解決されなければならない」と明らかにした。米国の軍艦が27日、中国が領有権を主張する南シナ海の人工島12カイリ内の海域に進入し、両国の軍事的緊張が高まっている状況を受けての公式の反応だ。自発的に出したのではなく、記者団の質問にやむを得ず出た言葉で、内容も米国と中国のどちらにより近いのか分からないほどあいまいだ。
南シナ海の紛争を深堀すると、海洋支配を通じて覇権国家に進もうとする中国とこれを牽制してアジアでの戦略的優位を維持したい米国のパワーゲームが垣間見える。このような状況で、中国の習近平政府と良好な関係を結んでいる朴槿恵(パク・クンヘ)政府が、同盟関係の米国と実利関係の中国の間でどちらか一方の肩を持つことは容易でない。しかし、いつまでもそのようなあいまいな態度が通じるのか疑問だ。
韓米首脳会談で、オバマ大統領は朴槿恵大統領に、韓米同盟のグローバル・パートナーシップの強化として、「私たちは中国が国際ルールと法を遵守することを望み、もし中国がそれに失敗した場合、韓国が声を出さなければならない」と要請したことを記者会見で明らかにした。しかし、尹炳世(ユン・ビョンセ)長官は、「南シナ海の『南』も出てこなかった」とうやむやにしようとし、厳しい批判を受けた。外交首長がすぐ後に現実のものとなることに対して、「米中両国のラブコール」という幻想に酔って現実逃避的な態度を見せたのだから、無責任なことこの上ない。
中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)の加入、米国の高高度ミサイル防衛(THAAD)システムの韓半島配備、米国と日本主導の環太平洋経済提携協定(TPP)の参加など、米国と中国の利害関係が衝突する事案に直面する度に韓国が「戦略的曖昧性」を前面に出して顔色だけをうかがうことも、国民を不安にさせる。南シナ海問題は、中国が人工島を作って軍事基地化することで紛争を触発させた現象変更に該当し、航行の自由を阻害しかねないという点で国際法的に論議の余地が大きい。韓国の国益や安全保障の利害は別として、このような事案なら、国際秩序の維持という面で韓国が中国にもう少し強く憂慮の声を伝える必要がある。国際ルールの遵守は特定国家ではなくすべての国家が従わなければならない義務だ。