「公園や芝生、橋の下でも、場所を問わず出前が可能な『配達の民族』、本当に驚くべきものです」。今年5月に行われた世界外国人の韓国語スピーチ大会でグランプリを受賞したモンゴル人留学生のオヤンガ氏は、韓国の独特な飲食出前システムに賛辞を送った。多くの外国人たちが韓国の出前文化を幻のシステムだと羨ましがっている。ソウル梨泰院(イテウォン)では、韓国語の下手な外国人たちを対象に、食べ物の注文や出前を代行する「青い目の鉄ガバン」も登場した。
◆出前の食べ物は、離乳食から先祖へのお供えまで多岐にわたっているが、そのうち、ジャージャー麺とチキンは、「国家代表級メニュー」ともいえる。これに、老若男女や世代を問わず、全国民がよく食べるトッポッキが挑戦状をたたきつけている。大手フランチャイズ企業各社が首都圏を中心に、出前サービスを導入したのだ。まだ、注文最少金額を設けたモデル出前に過ぎないが、とある会社は年内の全国拡大を進めている。大韓民国の最南端の島を背景にしたとある通信会社の広告で、「ジャージャー麺を注文した方」という流口語が出てきたように、国土のいたるところから「トッポッキを注文した方」を叫ぶ配達の旗手を目にする日も遠くない。
◆家々に町中中華料理屋のチラシを冷蔵庫につけていた時代は過ぎ去り、出前とIT(情報通信)技術とが融合された出前アプリを活用するのが時代の流れとなっている。国内出前アプリ市場では、「我々はどんな民族ですか」という文句で親しまれている韓国生まれの企業(配達の民族)と、2011年にドイツで起業した「デリバリ—ヒーロー」の子会社(ヨギヨ、配達筒)とが激しい競争を繰り広げている。
◆地球村を舞台にした食べ物出前サービスの競争が熱い。毎月、米紙ウォールストリートジャーナルが公開する推定市場価値が10億ドル以上のスタートアップリストに、昨年末からフードベンチャーが登場した。2014年、欧州最高のスタートアップに選ばれた「デリバリーヒーロー」を始め、Eleme(中国)やインスタカート(米国)などがそれにあたる。先月、アマゾンも新しい食べ物の出前サービスを開始した。ロサンゼルス市やその周辺のアマゾン客に、1時間内に食べ物を届けるサービスだ。一早くから外国人たちを虜にしてきた韓国の出前文化やアプリ基盤サービスにおいても、世界の最強に立つことができるよう、頑張ってもらいたい。
高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com