中国の銀行最大手、工商銀行の遼寧省丹東分行など中国東北3省の一部の銀行が、北朝鮮人名義の口座に対する中国人の入金と口座振替のサービスを昨年12月末から停止していることが確認された。18日の米国の北朝鮮に対する超強硬制裁法が発効される前に下された措置で、北朝鮮制裁法が本格的に施行されれば、今後、中国企業と金融機関が大きな影響を受けるものとみえる。
工商銀行丹東分行のある職員は18日と19日、東亜(トンア)日報との2度の電話取材に対して、「この措置は昨年12月末から始まり、現在はドルや中国人民元などすべての外国為替の入金と振替を停止した状態だ」と話した。丹東は、北朝鮮の新義州(シンウィジュ)と鴨緑江(アプロクカン)の間にあり、鴨緑江鉄橋に連結される国境都市で、中朝貿易の70%以上が行われる場所だ。
遼寧省瀋陽のある中国人実業家は、「北朝鮮の鉱山数ヵ所に投資し、鉱物を中国に持ってきて銀行を通じて代金を支払ってきたが、最近、突然取り引きのある中国系銀行から北朝鮮人の口座には入金と口座振替をしないという通知を受けた」と話したと、ある消息筋は伝えた。北朝鮮側パートナーはこの実業家に早く金を送るよう催促している。
昨年12月末は、北朝鮮が4度目の核実験(今年1月6日)の前だ。当時、中国政府は北朝鮮の核実験の事実を事前に通知されなかったと明らかにした。丹東分行の職員は、「なぜこういう措置が下されたかについては、会社から聞いていないが、中朝関係が緊張したことと関係があるようだ」と話した。
ある北朝鮮問題の専門家は、「昨年12月12日、初の海外公演で北京入りした牡丹峰(モランボン)楽団が、公演当日に北朝鮮に戻ったことで、両国関係が悪化した」とし、「中国政府が平壌(ピョンヤン)を圧迫するために一部措置を始めた後、今年になって核実験や長距離ミサイル発射(7日)などの挑発が続いた。制裁措置は一層拡大・強化されただろう」と分析した。2013年2月の3度目の核実験の後、国連や米国など国際社会の北朝鮮制裁に一部参加した中国が制裁範囲を広げた可能性もある。
北朝鮮労働者を雇用して工場を運転してきた丹東などの現地中国企業も憂慮している。米国と韓国が北朝鮮制裁法案と開城(ケソン)工業団地の閉鎖で、北朝鮮の核兵器やミサイル開発に転用される金脈を遮断したことで緊張ムードが漂っている。
ある中国人企業家は、「北朝鮮と鉱物を売買したり国連などが指定した禁輸物品を取り引きすれば、米国の制裁法によって事業が大きな打撃を受ける」とし、「主な輸出相手国である米国と欧州、韓国などが北朝鮮労働者を雇用して作った中国製品の輸入を遮断すると見られ、心配する企業家が多い」と現地のムードを伝えた。
단둥=구자룡특파원 丹東=ク・ジャリョン特派員 bonhong@donga.com