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[オピニオン]人権のアイコンになった拉致強姦犯ミランダ

[オピニオン]人権のアイコンになった拉致強姦犯ミランダ

Posted June. 13, 2016 07:15,   

Updated June. 13, 2016 07:29

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こいつは「悪い男」だ。10代から無銭飲食、窃盗、強盗など多くの犯罪で少年院と刑務所に出入りし、闇の世界で生きてきた。幼い頃に母親と死別した後、父親が再婚し、生涯家族とも疎遠だった。34才の時、酒場でけんかしてナイフで刺され、非業の死を遂げた。そんな彼が映画や法学教材にも登場する人権アイコンになるとは、本人も夢見なかったことだろう。メキシコ系米国人のエルネスト・ミランダだ。

◆「あなたは黙秘権を行使できる。供述は法廷であなたに不利な証拠になる場合がある。あなたは弁護士の立ち合いを求める権利を持っている・・・」。世界の主要国の捜査官は、容疑者を尋問する前に容疑者にこのような権利があることを煩わしくても伝える。1966年6月13日、米連邦最高裁が、捜査機関からこのような権利を告知されずに得られた供述は有罪の証拠に使うことができないという「ミランダ原則」を確立して50年. 高圧的な捜査は減り、捜査をすることが難しくなった。

◆1963年3月、18才の少女を拉致して強姦した容疑で、アリゾナ州の裁判所で「20年から30年の刑」が言い渡されたミランダは、刑事訴訟の手続きの大原則を立てた米連邦最高裁の歴史的判決で無罪で釈放された。しかし、関係が悪化した同棲していた女性がミランダから犯行の話を聞いたことを明らかにし、アリゾナ州で再審が行われ、一審の量刑で有罪が確定した。万事必ず正しい道理に帰すものだ。再審では、連邦最高裁が証拠として使えないと判断したミランダの当初供述を除く別の証拠が採用された。

◆ミランダは1972年に仮釈放された後、ミランダ原則が書かれたカードにサインし、1ドル50セントで売った。米国で「ミランダ警告」や「ミランダ権利」と呼ばれる容疑者の人権尊重の原則が立てられたその張本人であることが生計の手段になった。凶悪犯罪をしたのに無罪で釈放された時、ミランダは快哉を叫んだかも知れないが、連邦最高裁は容疑者の逮捕と捜査で適法手続き(due process)の原則を立てたのだ。

韓起興(ハン・ギフン)論説委員



한기흥기자 ハン・ギフン記者 eligius@donga.com