与党セヌリ党の李貞鉉(イ・ジョンヒョン)代表は、「生物学的湖南(ホナム)」だそうだ。最大野党「共に民主党」の秋美愛(チュ・ミエ)議員が、CBSラジオ番組「キム・ヒョンジョンのニュースショー」の中で切り出した言葉だ。全羅南道順天(チョンラナムド・スンチョン)出身である李代表が、「大統領選挙で湖南票を持ってくる」と語ったことに脅威を感じるのかという質問に対し、秋議員は、「違う」と言い、「あの方は男性だから、生物学的に湖南ですね。私もそれに劣らず、湖南の嫁ですから」と答えた。秋議員は大邱(テグ)、夫は全羅南道井邑(チョンウブ)が故郷となっている。
◆養子縁組の多い米社会では、「生物学的親(Biological parent)」という表現が頻繁に使われる。米国に養子縁組に出され、いい暮らしをし、成人してから生物学的両親を探して、韓国にくる若者たちもいる。秋議員が使った生物学的湖南という言葉が、生物学的両親とどう違うのかはわからない。おそらく、李代表が湖南で生まれた人なら、自分は湖南に嫁いできた人だと言いたかったらしいが、簡単な言葉を難しく表現しただけような気がする。
◆27日、共に民主党党大会の党代表候補選びに立候補した秋議員が、これを思わせる表現を使ったのも、一定の狙いがあるかもしれない。氏は、「湖南が願うのは、湖南の価値や湖南の精神を誰が政治に輸血して、きちんと実現できるかだ」と主張した。秋議員は、「共に民主党は、金大中(キム・デジュン)大統領の6.15南北首脳会談や廬武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の10.4南北共同宣言の精神を引き継いだ唯一政党だ」と語った。李代表より、嶺南(ヨンナム)出身である自分が、金大中や廬武鉉精神を具現し、湖南をもっとうまく代弁できるという主張らしい。李代表が、「湖南予算の番人」を自任しても、「金大中や廬武鉉のいない李貞鉉」は、秋議員の目には、生物学的湖南に過ぎないという意味だろうか。
◆金大中元大統領は、地域感情を解消するために、国会議員候補の公認において様々なことを試みた。1995年、秋議員を新政治国民会議の副報道官に抜擢して、政界に入門させた時も、能力と共に地域的考慮があったはずだ。野党圏の大株主といえる湖南票獲得に追われたとしても、他党代表の出身地域について、「生物学的湖南」まで云々したのは言い過ぎのような気がする。
韓起興(ハン・ギフン)論説委員 eligius@donga.com
김순덕 キム・スンドク論説委員 yuri@donga.com