セオドア・ルーズベルト米大統領は、日露戦争を仲裁した功労が認められ、１９０６年にノーベル平和賞を受賞した。しかし彼は、「帝国主義者」と呼ばれるほど、平和とは程遠かった人物だった。スペインと戦争する時は、民兵体を組織して戦うほど戦闘の先頭に立ち、「モンロー主義」を打ち出して、欧州列強が南米には近づけないよう食い止めた。「正しい外交政策は、優しく語りながら、大きな棒を手にすることだ」というのが彼の持論だった。ルーズベルトが受賞する１年前に独立した新生国「ノルウェー」が、強力な友好国が必要だったため、わざわざ彼を選んだという声もある。
◆アフリカ民族会議のアルバート・ルツーリ議長（１９６０年）やソ連反体制人物「アンドレイ・サハロフ」（１９７５年）、ミヤンマーのアウンサン・スーチ外交長官（１９９１年）も、人権を巡る功労が認められ、ノーベル平和賞を受賞した。しかし、人権や平和を巡る見方によって、変わりうる概念だ。ナチスドイツの良心囚カール・フォン・オシエツキー が１９３５年、ノーベル平和賞の受賞者に決まると、ヒットラーは、全てのドイツ人のノーベル賞受賞の不可決定を下すことで、腹いせをした。チベットの精神的指導者「ダイラ・ラマ」が１９８９年、のーべル平和賞受賞者に選ばれた時は、中国が反発した。
◆韓国唯一のノーベル賞受賞者である金大中（キム・デジュン、ＤＪ）大統領は、ノーベル平和賞制定１００周年だった２０００年に受賞した。同年の南北首脳会談や６．１５共同宣言が決定的要因となった。歴代政府は、ＤＪのノーベル平和賞受賞を食い止めるため、「山林政策」、「造船事業」などの名前の工作を繰り広げたと、李鍾贊（イ・ジョンチャン）元国家情報院長が回顧録で明らかにした。いざ、李元院長も、１９９５年からＤＪのためのノーベル平和賞の地ならしに乗り出した。このような大きな賞は、人事を尽くして天命を待つだけでできないらしい。
◆今年のノーベル平和賞受賞者は、コロンビアのフアン・マヌエル・サントス大統領だ。５２年間続いてきたコロンビアの内戦を終息させる和平協定案を引き出した功労が認められた。国民投票で一度否決された和平協定を完成させるべきだという意味で与える前払いノーベル賞といえる。２００９年に、就任から１年足らずのバラク・オバマ米大統領に抱かせたノーベル平和賞よりは増しだろうか。
異鎭（イ・ジン）論説委員 leej@donga.com
김순덕 キム・スンドク記者 yuri@donga.com
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