三星電子は昨年1月、モバイルアプリケーションプロセッサー(AP)に業界では初めて14ナノ工程量産を開始した。
三星電子が今回量産した10ナノ第1世代工程は、従来の14ナノ第1世代比性能が27%も改善された。消費電力は40%減ったものの、ウェーハー1枚当たりのチップ生産量は約30%増えた。
三星電子側は、「10ナノ工程の量産のためには、14ナノ工程より一段と精巧で微細な回路を書き込む『パターニング』作業が必要だ」とし、「従来の装備を活用して、パター二ング過程を3回繰り返す『トリプルパター二ング』技術を採用することで、微細工程の限界を克服し、設計の柔軟性を確保した」と説明した。
三星電子は昨年から、14ナノ生産工程を世界初で商用化した技術力を打ち出して、ライバル会社各社とのモバイルAP委託生産(ファウンドリー)の格差を広げている。特に、ファウンドリーの最大手ライバルメーカ―である台湾のTSMCとは10数年にわたって、相互に二転三転しながら技術競争を続けている。電子業界では現在、16ナノ工程量産中のTSMCも、早ければ年内に10ナノ工程量産が可能とみられ、両社の競争はさらに激しさを増すものとみられる。
TSMCはまず、10ナノ工程を短期間に活用後、7ナノ量産に本格的に取り掛かるものとみられる。一方、三星電子は、7ナノ開発に必要な装備技術は依然安定性が落ちると判断し、10ナノ工程技術をより長期的に持っていくという戦略を選んだという。
実際、三星電子は同日、「10ナノ第1世代工程量産を皮切りに、来年は性能を向上させた第2世代工程量産を目標に開発している」とし、「第2世代以降も引き続き性能改善や派生工程拡大を通じて、10ナノ工程を長期間活用する計画だ」と発表した。
電子業界の関係者は、「14ナノを先に量産した三星電子を追従する立場であるTSMCとしては、後で三星電子が一歩リードすることまでを計算に入れて、技術開発競争を繰り広げなければならないため、今更敢えて10ナノ技術に「オールイン」するのはあまり意味がないと受け止めたかもしれない」と解釈した。
電子業界によると、TSMCはアップルの次期作「アイフォーン8」専用モバイルAPである「A11」ファウンドリーを独占受注した。三星電子は、クアルコムの次期モバイルAP生産を担当したという。
김지현기자 キム・ジヒョン記者 jhk85@donga.com