今シーズンの「ファンタスティック・フォー」(ニパート、張元準、ボウデン、柳煕寛)の活躍で1シーズン最多勝(93勝)と韓国シリーズ2連覇を果たした斗山(トゥサン)の金泰亨(キム・テヒョン)監督も今シーズンに最も不満足に思ったことに「5先発ローテ」を完成できなかったことを挙げた。「野球は投手ゲーム」と言われるほど、投手は最も重要なポジションだ。しかも、今年から所属球団に与えられてきた優先交渉期間がなくなった。11日から一斉にFA選手との交渉が可能な10球団の争奪戦が一段と激化する所以だ。
スタープレイヤーのFAに対する所属球団の立場は、いつも同じだ。「残留を望む。是非引き留めたい」というものだ。金、梁、車の3投手の所属球団も同じだ。だが、昨オフのパク・ソクミンのNC加入や、チョン・ウラムのハンファ加入からわかるように、球団と選手が感じるものに温度差があり、最も強く欲しがる球団だけが選手の選択を受ける。パク・ソクミンとチョン・ウラムは、それぞれ打者と救援投手として最高額(4年96億ウォン、4年84億ウォン)を更新してチームを移した。
すでにSKとKIAは、昨年、金広鉉と梁玹種にそれぞれ8億5000万ウォン、7億5000万ウォンに大幅アップした年俸を与え、エースに対する誠意を示した。二人がチームに残留すれば、2014年に尹錫珉(ユン・ソクミン)が記録した投手最高額(4年90億ウォン)を超えるのも難しくない。
二人の左腕エースは、「相応の条件」という前提のもと、海外進出に挑戦する。二人は並んで2014年に球団の同意を得て、ポスティングシステムを通じてのメジャーリーグ進出を進めたが、安すぎる入札額を示されて諦めた経緯がある。今年の梁玹種は日本も視野に入れている。ただ、海外から提示される条件が満足できない内容なら、優先的に古巣残留も検討するというのが二人の立場だ。
半面、昨年に緊縮財政を実施した三星(サムスン)の雰囲気は少し違う。キム・ハンス新監督は就任式で、「車雨燦と崔炯宇は引き留めてもらいたい」と球団に要請した。だが、昨年に緊縮財政路線を貫いた三星は、車雨燦と年俸4億ウォンで契約した。「前年年俸の200%と補償選手1人」もしくは「前年年俸の300%」を支払わなければならないFA獲得で、車雨燦は「費用対効果位」で優れた選択になり得る。
崔炯宇(チェ・ヒョンウ)も「同じ条件なら」メジャーリーグ進出を先に考慮するとの立場だ。さらに、三星は前回の年俸契約では、崔炯宇とスプリングキャンプが行われるまで交渉を続け、7億ウォンで契約した。早くから「最高待遇」を保証された金広鉉や梁玹種とは違い、プライドを傷つけられた崔炯宇に対して、三星が同じような献身を期待するのは無理と言われる所以だ。打率と打点で首位をマークし、コンタクト能力とクラッチ能力を証明してみせた崔炯宇が、今オフにするべきことは、最高額を提示する球団を待つことだ。
任寶美 bom@donga.com