国際サッカー連盟(FIFA)は8日、日本で開催中のFIFAクラブワールドカップでFIFA主催大会では初めてビデオ判定システムを導入した。既存の主審と副審の他に「ビデオ副審(VARs=Video Assistant Referees)を競技場内のビデオルームに配置し、主審の判定をサポートする方式だ。ビデオ副審は試合映像を見ながら無線でコミュニケーションを取り、主審がビデオ判定が必要だと決定したときに回数に関係なく判定を行う。ビデオ副審は主審にビデオ判定を提案できるが、試合に参加しているチームは判定を要求できない。判定の範囲は、得点の状況、PKの決定、退場、審判が見逃した反則の確認など。
鹿島アントラーズ(日本)は14日、ビデオ判定システムの恩恵を受ける最初のチームになった。前半28分のPKの場面でPKエリア内にいた鹿島選手がアトレチコ・ナシオナル(コロンビア)選手の反則のために倒れたが、主審はこれを見逃した。しかし主審は、約2分後に試合を中止させてビデオ判定を通じて反則を確認し、PKを宣言した。PKで先制した鹿島は3-0で勝利しアジアクラブでは初めて決勝に進出した。
これまでサッカー界は、「誤審も試合の一部」という認識からビデオ判定システムの導入を躊躇ってきたが、サッカールールを取り仕切る国際サッカー評議会(IFAB)は今年3月、ビデオ判定を2年間試験的に導入したうえで、恒久的に実施するかどうかを決めることを決定した。野球などの他競技ではビデオ判定を導入しジャッジの精度を高めており、テレビ中継システムの発展でファンも再生画面を通じて誤審を摘発できる状況になったからだ。
ジャンニ・インファンティーノFIFA会長は、2018年のロシアワールドカップ(W杯)からビデオ判定を導入することを主張している。FIFAが主催する最大の大会であるW杯までにビデオ判定導入が確定する場合、試合中の選手の動きにも大きな変化が生まれる。DF陣はFKなどセットプレーの場面で相手守備のユニホームをつかんで倒したり、相手選手に足を引っ掛ける反則行為などに制約が生じる。
南米のウルグアイや欧州のイタリアの選手たちは審判が見ないで位置で激しく当たるなど巧妙な反則行為をすることが多いのだが、ビデオ判定システムが導入されれば、そうした反則的な守備は相当困難になるものとみられる。主審が反則場面を見逃して試合を進めても、ビデオ副審の提案で判定を実施することもできるため、試合中はいつでも反則行為をジャッジすることができる。
鹿島のDF昌子源は、「審判が後からPKを与えるのを見て、こちらもビデオ判定で同じような状況に置かれなけないと思い、慎重に試合をするしかなかった」と話した。攻撃では1986年のメキシコW杯で手でゴールを決めたディエゴ・マラドーナ(アルゼンチン)の「神の手」のような場面は出なくなる。
韓国プロサッカー連盟のチョ・ヨンジュン審判委員長は、「ビデオ判定が導入されれば、試合中にいつでもジャッジが変わる可能性がある。反則の場面を見れない位置で判定をしなければならない問題など人間の審判が抱える限界を克服できるものと期待している」と話した。一部では、ビデオ判定に時間がかかるため試合の流れが途切れる問題も指摘している。これについてFIFAは、「試験的に導入する過程を徹底的に分析し、ビデオ判定が試合の流れを妨げないで定着させる対策の検討を進めたい」と明らかにした。
一方、Kリーグも来シーズンからビデオ判定システムを導入する予定だ。韓国プロサッカー連盟の関係者は15日、「来年からKリーグの試合に車両型のビデオ判定システムの導入を推進している」と明らかにした。
鄭允喆 trigger@donga.com