「崔順実(チェ・スンシル)ゲート」を捜査中の朴英洙(パク・ヨンス)特別検察官(特検)チームが21日、看板掲示式を行い、国民年金公団と保健福祉部を家宅捜索した。特検は「三星(サムソン)の第三者供賄と国民年金の背任証拠を確保するため」と明らかにした。去る11日、検察は69日間の国政介入事件の捜査を終え、朴槿恵(パク・クンへ)大統領に対して職権乱用、公務上機密漏洩、強要未遂など8件の疑いを適用した。特検は、検察が法的判断を留保した収賄罪などの立証に捜査力を集中するものとみえる。
今、三星は、崔順実(チェ・スンシル)被告と娘のチョン・ユラ氏の金庫役をしたという批判を受けている。崔親子がドイツでコーヒーやアイスクリームなどの食べ物から子犬用のトイレトレーまで三星の金で購入したことがメディアの報道で明らかになった。三星が崔被告所有のコアスポーツに入金し、崔被告が経費請求書を根拠に引き出したという。
昨年の三星物産と第一毛織の合併当時、国民年金が不利益を甘受して賛成票を投じたことで三星が支援したなら、代価性があると見ることができる。しかし、6日の国会国政調査で、李在鎔(イ・ジェヨン)副会長は、「社会貢献であれ出資であれ見返りを望んでする支援はない」と答えた。三星は、乗馬協会会長社(会長が属する会社)の次元で全乗馬選手に対する支援だったと説明しているが、ほかの選手は選抜されず、三星の支援を受けた選手はチョン・ユラ氏一人だけだった。
三星が贈賄罪で処罰される場合、単に企業イメージが失墜する程度にとどまらず、三星の財務と事業全般が否定的な影響を受けるだろう。世界有数の機関投資家は、不正腐敗防止を明示した国連規約に反する企業を投資対象から除外している。三星が投資非適格企業に分類され、機関投資家が三星に投資した金を回収する場合、株価が暴落するだけでなく、今後の新規資金を集める増資も難しくなる。米国は企業が贈賄罪で処罰を受ければ、公共入札に参加できないよう制限している。
世界3大公的年金に属するオランダAPGが最近、三星電子に政経癒着問題に対する立場と解決策を問う株主質問書を送った。三星はすでに全国経済人連合会の脱会と未来戦略室廃止計画を明らかにしたが、この程度でグローバル市場の信頼を回復することはできない。李在鎔副会長が政経癒着の輪を完全に断つという公開宣言でもするなら、旧時代の悪習を整理する転機になり得るだろう。