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盗まれた仏像、盗んだ仏像

Posted January. 27, 2017 08:40,   

Updated January. 27, 2017 08:41

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2009年、ソウルアートソンジェセンターで美術家であるハム・ギョンア氏が、ユニークな作品「ミュージアムディスプレイ」を披露して話題となった。博物館にありそうな大きなガラスのショーケースに、コーヒーカップやペッパーシェーカーのようなガラクタを展示したのだ。海外のホテルやカフェから、氏がこっそり持ってきたものであり、厳密に言えば盗品と言える。個人が盗んだものを展示することと、先進国が戦争や略奪で盗んだ文化財を堂々と見せることとは、どのような違いがあるのかを聞きたかったという。

◆映画「ウーマン・イン・ゴールド」は、オーストリア政府が所蔵していた画家クリムトの「アデーレ・ブロッホバウアーの肖像」(1907年)を、ユダヤ人の子孫が取り戻してくる実話を扱った。本来の所有者の相続人はナチスに奪われたが、ウィーンのベルヴェデーレ博物館が所蔵していた絵画を、8年間の訴訟の末に返してもらい、新しい判例を残した。この絵画は、2006年当時、美術品のオークションで最高価格である1億3500万ドルで落札され、ニューヨークのノイエギャラリーにかかっている。

◆盗んだ国においても、盗まれた国においても、略奪文化財の返還は敏感な問題だ。2012年、日本対馬のとある寺院で韓国人の窃盗団が盗んで国内に密かに持ち込んだ金銅観音菩薩坐像を、元の所有者と推定される忠清南道瑞山市(チュンチョンナムド・ソサン氏)に位置している浮石寺(ブソクサ)に返すべきだという1審判決が、昨日下された。大田(テジョン)地裁は、「弁論や現場検証を通じて、この仏像は浮石寺の所有であることが十分に認められると推定される」とし、「歴史・宗教的価値を考慮すれば、仏像の占有者は、原告である浮石寺に引き渡す義務がある」と判決した。日本政府は、強い遺憾を示した。

◆問題の仏像は、1330年の高麗時代、瑞山で製作され、1526年前に倭寇によって略奪されたものとみられる。仏像返還問題が浮き彫りになった後、「盗んだものだから返すべきだ」、「もともと私たちのモノなのに、なぜ返さなければならないのか」などの賛否が対立したが、裁判所が浮石寺の所有権を認めたのだ。500年前に略奪したという理由で、21世紀の明白な盗品を返さなければ、国際社会が私たちをどのような目で見るのか気になる。このようなやり方が認められれば、世界の博物館は修羅場になるかもしれない。時間がかかっても、文化財還収は国際規範に従うのが正しい。