元大統領民情首席秘書官の禹柄宇(ウ・ビョンウ)氏が昨日、ソウル中央地裁で拘束令状実質審査を受けた。禹氏は、大統領府の政策に協力的でないという理由で文化界ブラックリストなど文化体育観光部の局長や課長5人を勝手に追い出し、CJ E&Mへのやり玉調査を拒否したという理由で公正取引委員会の局長級幹部を強制退職させるなど職権乱用の疑いがかけられている。何よりも、崔順実(チェ・スンシル)被告の国政介入を黙認または幇助し職務遺棄の責任が大きい禹氏に対する特別検事(特検)の刑事処罰の手続きが本格化したが、それが崔順実国政関与事件捜査が大詰めを迎えたところで行われているのは「時既に遅し」と言わざるを得ない。
特検によると、禹氏は崔被告の要請に応じて、民情首席室の職員らを動員して、ミル財団とKスポーツ財団の理事長など、財団役員の検証を代わりに行った。財団の違法強制募金を正さなければならないはずの民情首席室が、国政介入のために「マット」を敷いてくれたことになる。検証にかこつけた民間人調査は、「民間人査察」であり、重大犯罪だ。「民情首席室が、(他人のプライバシーを調査する)興信所と何ら違わない」というのが、特検関係者の説明だ。
崔被告は、朴槿恵(パク・クンヘ)政府発足前から、最高裁判事や検察、警察、国税庁長の人事資料を収集したという。収集した19人のうち5人は、実際任命されたという報道もある。これは、大統領や民情首席室を直接通さずには不可能なことだ。それなのに、禹氏は昨日、裁判所に出頭する際、「まだ、崔順実のことは知らないのか」という記者の質問に対し、「知りません」と答えた。しかし同日、崔順実裁判に証人として出席したチェ・チョル元文化体育観光部長官政策補佐官は、「コ・ヨンテ氏は、『チェ氏が民情首席室から一定の情報を聞いている』と語ったことがある」と述べて、禹氏の主張の信憑性を疑わせる。
民情首席秘書官は、国民の心や気持ちをよく察して大統領に伝え、側近の不正を見つけて断罪し、国政を補佐するポストだ。しかし、崔被告が朴大統領の背後で操縦した国政壟断の黒幕なら、人事を通じて壟断を執行した人は、ほかならぬ禹氏だ。民情首席室が、鄭潤会(チョン・ユンフェ)文書流出事件の際、陰の実力者について徹底的に暴いたなら、国がこのような状況に置かれることはなかっただろう。検察の「禹柄宇師団」は、そのような禹氏に触れることができなかった。禹柄宇事件は、検察歴史に長らく大恥として残るだろう。