Go to contents

「狼を育てるピアニスト」エレーヌ・グリモーが来韓公演

「狼を育てるピアニスト」エレーヌ・グリモーが来韓公演

Posted May. 02, 2017 08:34,   

Updated May. 02, 2017 08:34

한국어
1991年、ピアニストのエレーヌ・グリモーさん(48)は、米フロリダ州郊外の人気のない道路で倒れていた野生の狼を発見した。グリモーさんは「全身にピリッと電気のようなものが走った」と話した。当時、日々繰り返される演奏生活に疲れていたグリモーさんに狼との出会いは原始的エネルギーを吹き込んだ。1996年、グリモーさんはニューヨークに狼保護センターを設立し、今も活動を続けている。

「狼を育てるピアニスト」として知られるグリモーさんが7日、ソウル芸術の殿堂コンサートホールの舞台に立つ。2009、2013年に続き3回目の韓国での舞台だ。公演を控え、先月27日にグリモーさんに電話インタビューを行った。

「韓国の観客は熱い心を持つ教養のある観客です。また即興的で正直です。先の2回の公演を通じて、観客と特別な交感ができたことが印象的でした」

今回の公演のテーマは「水」だ。ドビュッシーの「沈める寺」、フォーレの「舟歌第5番」、ラベルの「水の戯れ」、ヤナーチェクの「霧の中で第1曲」など水をテーマにした作品を聴かせる予定だ。

「曲が大変静かで、観客の特別な関心が必要です。内面の美を扱うため、詩的なインスピレーションで心を開いて聴いていただけたらうれしいです」

グリモーさんは狼とは切り離せない関係だ。グリモーさんが設立した狼保護センターでは、数十頭の狼が飼育されている。グリモーさんもセンターから車で5分離れた所に暮らしている。狼の繁殖と治療を学ぶために大学で動物学を学んだ。

「実際、狼の生息地を保護すること自体が人間と地球を保護するということかも知れません。未来の世代のためなので情熱的にやっていますが、音楽との両立はかなりの時間的制約が伴います」

フランス出身のグリモーさんは、マルセイユ音楽院、パリ音楽院などを経て、1987年にダニエル・バレンボイムが指揮するパリ管弦楽団と共演して有名になった。その後、クルト・マズア、ベルナルト・ハイティンク、リッカルド・シャイー、ヴァレリー・ゲルギエフなど世界的な巨匠と公演してきた。冷静と情熱、静かさと大胆さが共存するグリモーさんの演奏をグレン・グールドと比較する人もいる。

 

「グールドと比較されることは光栄です。子供の頃からグールドを尊敬して育ち、彼のようになりたいと思っていました。私も強く、独創的でありながら音符の中で生きている感じを与えることができる音楽家になりたいです」

美人ピアニスト、狼の母、環境運動家、融複合の芸術家など多彩に形容されるグリモーさんが人生と音楽で最も重要だと考えるのは「正直さ」だ。

「観客に最高の音楽を贈るためには、私がその瞬間に音楽に対して100%の精神を注ぎ込まなければなりません。また、200%愛し、信じていることを伝えなければなりません。そのためには人生と音楽に対して正直でなければなりません。ありのままを伝えるためです」

グリモーさんは最後に必ず言いたいことがあると言った。

「公演は短い瞬間に時間が止まった感じを与えなければなりません。今回の公演も『刹那の魔法』を見せたいです」。4万4000~13万2000ウォン。02-552-6253



金東昱 creating@donga.com