高級ブランドとファッションデザイナーたちが、宇宙に目を向けた。1960年代の宇宙開発時代とともに盛んに行われていた「レトロ未来主義(Retro Futurism=レトロフューチャリズム)」のファッションが2017年に繰り広げられている。宇宙服を思わせる銀色の服と靴、ミラーサングラスなどが流行しだしている。
今年3月、フランス・パリのグランパレで開催された「シャネル2017の秋・冬ファッションショー会場」に招待されて入った時から、そのような空気が感じられた。シャネルのクリエイティブ・ディレクター「カール・ラガーフェルド」は、会場の真ん中に高さ37メートルの巨大なロケットを設置し、モデルたちには、宇宙飛行士がプリントされたシフォンブラウスを着せた。ラガーフェルドは言った。「宇宙飛行士と一緒に星座の中の宇宙旅行に旅発ちましょう」。モデルたちがクリスタル星座の輝く銀色のブーツを履いてフィナーレウォーキングを終えると、ロケットがグランパレの天井に打ち上げられた。「シャネルブランドの宇宙旅行」だった。
今月初め、英ロンドンのボンドストリートにある「モン・クレール」店のディスプレイに、宇宙船と宇宙飛行士が沢山登場した。最近「ホットな」英紳士服デザイナー「クレイグ・グリーン」とコラボした「モン・クレールC」の服を披露する席だった。羽毛が入ったボリューム感のあるダウンジャケットは、元々宇宙服と似ていたではないか。保温効果と先端未来のイメージを同時に強調したラグジュアリーダウンジャケットブランド「モンクレール」のスマートな「神の一手」だった。人間とエイリアンがモンクレールのジャケットを手に入れようと戦う設定の3分間の短編映画も作った。
川久保玲の率いる「コム・デ・ギャルソン」の今シーズンの服は、「動く彫刻」のようだった。高性能の詰め物、銀色のフィルムで作った服が「シルエットの未来」というテーマで舞台上に上がった。宇宙人のようにアンテナの付いたミラーサングラスをかけたモデル(ルイカトジュ広告)、「スター・トレック」の宇宙人、ロボット、地球生命体モデル(グッチ広告)…。すべてが宇宙だ。
なぜ宇宙なのか。弘益(ホンイク)大学繊維美術ファッションデザイン学科の簡鎬涉(カン・ホソプ)教授は、「かつては到達できない夢だった宇宙が、技術発達で『実現可能な現実』になった」とし、「宇宙は『第2のチャンスの地』になった」と話した。世知辛い世相からその理由を求める分析もある。新しい服を買う余裕のない若者たちが、米ニューヨーク・ソーホーの古着店を出入りしながら一つの流行を作り出したという。肩の大きなジャケットなど宇宙服のシルエットとストリートファッションの感性がラグジュアリー業界に逆に影響を及ぼしたという。
宇宙への憧れは、ファッション業界に限られたものではない。宇宙映画が着実に公開されてきた中、日本東京の森美術館は最近「宇宙とアート」というビッグヒットの展示を終えた。4ヶ月前、米カリフォルニアに建設されたアップルの新社屋も宇宙船の形である。
安全保障と環境が懸念される今、「未来の贅沢は高価なバッグではなく、清浄な空気だ」という言葉も出ている。不確実でありながら確実に迫る未来。だからみんな「起承転、宇宙」というのだろうか。
金善美 kimsunmi@donga.com