長くは10日間の秋夕連休期間の真ん中である3日、政府は、政府ソウル庁舎で洪楠基(ホン・ナムギ)国務調整室長の主宰で緊急次官会議を開き、このように明らかにした。連休のど真ん中に6つの省庁の次官級関係者を急いで集めて会議を開かせたのは、北朝鮮の脅威や韓米自由貿易協定(FTA)の改正ではなく、5ミリサイズの小さなアリの群れだった。
今回の秋夕期間中、「殺人蟻」と呼ばれるヒアリの恐怖が全国を覆った。国内でヒアリが初めて見つかったのは、連休直前の先月28日。同日、釜山(プサン)港・戡蠻(カムマン)埠頭から25匹が発見された。その翌日だった先月29日は1000匹が生息する規模のヒアリの巣が戡蠻埠頭から追加で確認された。これを受け、政府は6つの省庁が合同で参加する関係省庁タスクフォース(TF)まで立ち上げ、ヒアリの撲滅に乗り出した。
ヒアリは、代表的な悪性侵入外来昆虫である。世界自然保全連盟(IUCN)が選定した「世界最悪の100大侵入外来種」にも名前が掲載されている。サイズは小さくても、あまりにも攻撃的な性格を持っているので、上陸する国ごとに既に生息しているアリを追い出し、その国の優占種になった。家畜の目を刺して目をくらませる一方、家庭に侵入して、人を噛んでショックで死亡させたりもする。北米では、年間平均8万人がこのアリに刺され、100人が死亡するという。
ヒアリの原産地は南米中部地域である。1930年代に米国に初めて上陸した。続いて、豪州(2001年)、台湾(2004年)、中国(2005年)などの環太平洋貿易国の港湾を中心に広がっていった。今年5月の日本に続き、今回は「清浄地帯」に言われていた韓国で発見されたのである。
関係機関が秋夕連休も返上して予察した結果、これまで国内にヒアリが大量に広がった痕跡は見つからなかった。5日終わった釜山港戡蠻埠頭での1次調査の結果、ヒアリは追加で発見されなかった。当局は7日、京畿義王(キョンギ・ウィワン)と慶尚南道梁山(キョンサンナムド・ヤンサン)にある内陸コンテナ基地にも専門家20人を投入して、合同精密調査に乗り出した。ヒアリが釜山港で発見される前に、すでにコンテナに乗って国内に流入しているかを確認するためだ。政府当局者は、「9日、釜山戡蠻埠頭に対する関係機関の専門家合同調査を実施し、ヒアリが拡散しているかどうかを精査する予定だ」と明らかにした。