SBSの青春男女の交際番組「ペア」は、恋愛リアリティショーで人気を集めたが、しばしば「悪魔の編集」の論議に巻き込まれた。「リアリティ」を掲げながらも、刺激的で巧妙な編集で出演者の感情や狙いなどを実際とは異なる形で歪曲したという批判だった。結局、撮影途中に一人の女性が命を絶ったことで、2014年に廃止された。
◆編集の歪曲は、ドキュメンタリーでも問題になる。米進歩主義者として有名なマイケル・ムーア監督も恥をかかされたことがある。2007年のドキュメンタリー映画「マイケル・ムーアの裏返し」によると、ムーアはジェネラル・モーターズ社を批判するドキュメンタリーの中で、ジェネラル・モーターズの会長に会ったのに、会えなかったと主張するなど、自分の狙いに合わせて事実関係を歪曲したり、勝手に編集したりすることも厭わなかった。
◆芸能でもドキュメンタリー映画の制作陣でもない中国国営放送局で、最近、文在寅(ムン・ジェイン)大統領のインタビューを勝手に編集した事実が明らかになった。中国中央テレビ(CCTV)は8日、大統領府で収録した文大統領のインタビューを11日に放送しながら、「THAAD追加配置は不可」など、「3NO」の原則と関連して「それは決して新しい立場ではない」という大統領の発言を削除した。放送時間のほとんどをTHAAD問題に焦点を合わせ、大統領の回答のうち「誓い」を「約束」と解釈した。中国指導部の立場を代弁するのが、この国の国営放送。それでも仮にも報道機関なのに、自国の一方的立場を伝えるために意図的に省略や誇張などの偏向報道をしたなんて、とんでもない。司会者は文大統領に、THAAD配置を巡って攻勢的質問を繰り返し、「数億人の中国視聴者たちに韓国政府の立場を語ったほしい」と詰め寄るなどした。
◆同日のインタビューで、文大統領は習近平主席との3回目面談を控えており、中国のことわざを引用した。「初めて会うと不慣れだが、2度目に会うと馴染み、三度目に会うと旧友になる」。しかし、訪中を控えた隣国の首脳に欠礼を犯すのを見ると、早目に期待を諦めなければならないようだ。このようなことを通じて、反米親中に執着する人たちが、中国の本性を見抜いて、私たちの座標を正確に認識するきっかけになれば幸いなのだが。