中国を国賓訪問中の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が14日午後4時45分(現地時間)、習近平国家主席と首脳会談を行った。文氏が北京に到着して29時間55分が経過した。訪問初日の13日、文氏は中国の国家指導者級の要人である共産党中央政治局常務委員の7人のうち誰一人とも会えなかった。南京大虐殺80年記念式に出席するために南京に向かった習氏は仕方がないとしても、北京で農業報告を受けるなど日常の業務で一日を送った李克強首相まで文氏が参加した韓中ビジネスフォーラムに張高麗・副首相を送った。冷遇を越えて無礼なことこの上ない。
このような中、文氏の訪中日程を取材していた2人の記者が13日、中国人警護員から暴行を受ける事件まで発生した。2人のうち1人は約10人の警護員から集団暴行を受けた。暴行の当事者が、大韓貿易投資振興公社(KOTRA)側が契約した私設セキュリティ会社の職員なのか中国側公安なのかは調査が必要だという。しかし、たとえ私設セキュリティ会社の職員だとしても、彼らを現場指揮した中国公安の管理・監督責任を問わざるをえない。中国指導部の安全に責任を負う共産党中央弁公庁警衛局が国賓訪問の警護を総括するうえ、彼らの高圧的な警護が暴行事態につながったと見なければならない。
中国側の国賓訪問の冷遇が単純に中国指導部の日程が偶然に重なったためとか、史上初の同行記者暴行事件が偶発的に発生したと見ることはできない。13日に空港で文氏を出迎えた孔鉉佑・外務次官補は、2013年の朴槿恵(パク・クンへ)大統領の訪中時に出迎えた張業遂・筆頭次官(長官級)より2ランク低い次官補級だ。習氏が5月19日、文氏の特使として訪中した李海チャン(イ・ヘチャン)元首相をまるで香港行政長官と面会する時のように横に座らせて面談したのを見れば、韓国の新政府を飼い慣らそうという中国側の意図がうかがえる。
中国は、周辺国との外交と関連して「親善恵容」(親密、善隣、恩恵、包容)を語るが、これは建前にすぎない。領土紛争があるフィリピンとは戦争を辞さないと脅迫し、中国の民権活動家の劉暁波氏にノーベル平和賞を与えたという理由でノルウェーのサケの輸入を禁止し、圧力をかけた国だ。国際的な外交慣例を無視した中国の高圧的な態度をこれ以上見過ごしてはならない。中国は、なぜそれほどの大国を友好国と呼ぶ国家がほとんどいないのか考えなければならない。