Go to contents

電子書籍に勝った紙の本

Posted December. 20, 2017 08:20,   

Updated December. 20, 2017 09:04

한국어

突然に停電となることが多かったあの時、あの頃。家ごとに常備用のろうそくを備えなければならなかった。停電の心配が消えたことで、ろうそくも日常から消えたのだろうか?とんでもない。天然のアロマキャンドルが、アロマセラピーやインテリア小物として人気を集め、あちこちにキャンドル店ができた。闇を照らす機能を超えて、生活を豊かにする新たな価値が認められたのである。

◆電子書籍の登場とともに、「没落」が取りざたされていた紙の本が健在なのも似たような流れで解釈できる。世界最大手のオンライン書店である米アマゾンが、電子書籍の端末「キンドル」を発売したのは2007年11月19日。キンドルの開発責任者は「抗生剤と電気と共に、人類において最も重要な発明」としてキンドルを挙げるほど意気込んだ。出版界でも、「今、紙の本は死んだ」と落胆した。今年でキンドル発売から10年、「電子書籍の圧勝」にはまだ疑問符がついている。

◆フランスは、紙の本の善戦を証明する国に挙げられる。2011年、この国に電子書籍が上陸したとき、オフライン書店と紙の本は3年以内に絶滅するだろうという見通しまで出た。ふたを開けてみると誤判だった。現在出版市場では、電子書籍の割合は3%に過ぎない。町中の本屋も3300か所にのぼる。政府・出版社・本屋が力を合わせた結果だ。政府は反アマゾン法を作って送料無料と値下げに歯止めをかけ、街の本屋は、共同オンラインプラットフォームを作り上げた。伝統を尊重するフランスは元々ユニークな国だが、米国の事情もあまり変わらない。昨年の電子書籍の販売は18.7%減少し、紙の本は増加傾向にある。これを意識したかのように、アマゾンは2015年以降、オフライン書店7カ所をオープンした。

◆本とは、知識情報の伝達手段だけでなく、人間の感性に深く入り込む媒体である。パラパラと本をめくる音、紙の感触、インクの匂い…。まさに電子書籍では真似できないアナログ感受性の結集体、存在自体が文化的満腹感を提供する。多くの人文主義者たちが読書に劣らぬほど、本そのものを大切にする理由でもある。紙の本がそうであるように、紙の新聞もデジタルに置き換えられない魅力とときめきを与える。運命共同体のように絡まっているこれらの未来が気になる。

高美錫(コ・ミソク)