2018年の最初営業日だった昨日、主要企業の最高経営責任者(CEO)が一斉に新年の辞を出した。金奇南(キム・ギナム)三星(サムスン)電子社長は、「人工知能・自律走行・ビッグデータなどの情報技術(IT)産業の急激なパラダイムシフトは、新たな挑戦を求めている」とし、「昨年の最高業績にうぬぼれてはならない」と強調した。鄭夢九(チョン・モング)現代(ヒョンデ)自動車会長も、「未来技術の革新に拍車がかかり、競争が激化し、自動車産業が急速に変化している」とし、将来の中核技術への投資拡大を注文した。崔泰源(チェ・テウォン)SK会長は、「うまいことははるかにうまくこなし、手がけていなかったことは、新たに手掛けよう」という「ディープ・チェンジ(Deep Change)2.0」をテーマに掲げ、経済的・社会的価値を一緒に追求しようと呼びかけた。5大グループの新年の辞で最も多く登場した単語は革新と変化だ。
指標だけを見れば、昨年、韓国経済の成績表は悪くない。半導体が主導した輸出は613兆ウォン規模で、貿易統計を取り始めた1956年以来最高値だ。これに力づけられ、政府は昨年3.2%の経済成長率を記録するだろうと試算した。にもかかわらず、各企業が危機を叫びながら先制的変化と革新を求めるのは、今年、韓国経済に立ち込めている不確実性を深刻に認識しているからである。今年は、グローバル金利引き上げと原油高、ウォン高の「3高」が既成事実となっているうえ、米国と中国の保護貿易主義の強化と最低賃金、法人税率引き上げなどの障壁が企業活動を妨げている。
東亜(トンア)日報は新年企画として、「3万革新企業が3万ドルの韓国を率いる」と題したシリーズを連載している。世界各国で早いテンポで行われる技術革新企業の起業現場とこれを支援する政府の役割にスポットライトを当て、それによって韓国経済が進むべき方向性を探るという趣旨だ。すでに先進諸国は主力産業の活性化政策により、第4次産業革命時代の新しい雇用を創出し、国の付加価値を高めている。ドイツは伝統的に強みを持つ製造業を、米国と日本はそれぞれ情報通信技術(ICT)とロボット産業を主力産業に選んで、グローバル市場を先取りしている。需要に合わせた科学技術への投資と企業力量を育てて、民間の競争力を強化することが政策の柱である。産業だけでなく、社会、文化、国防など様々な分野へと「革新成長」の範囲を広げている。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は昨日、大統領府での新年の挨拶会で「今年我々が実現する3万ドル時代にふさわしい生活の質を一緒に享受できるように努力しよう」と述べた。しかし、3万ドル時代に見合う生活の質向上は、スローガンだけでは来ない。民間企業の革新成長努力を政府が応援し、力づけることが欠かせない。
3万ドル時代に入ったからといって、時間が経つと、4万ドル時代に進入することはない。2008年に国民所得3万2000ドルを記録したが、産業構造調整と公共改革を無視して、財政危機に陥ったギリシャの没落を、私たちは見守ってきた。第4次産業革命時代の変化の時期で政府が企業の革新成長をどれだけ支えるかが、国民所得3万ドル以降の韓国未来を決定することになるだろう。