平昌(ピョンチャン)冬季五輪の開会式に0.001ミリ大きさの炭疽菌までリアルタイムで摘発する最先端装備が導入される。各国の貴賓と選手団、観客など4万人あまりが集まる開会式場で生物兵器によるテロが起きる場合、その被害は想像を絶する。政府は事前に五輪を威嚇する細菌やウィルスを抜かりなく摘発するというものだ。
疾病管理本部は平昌五輪とパラリンピックが開かれる2月9日から3月18日まで、オリンピックスタジアムとマウンテンクラスター、江陵(カンヌン)アイスアリーナなどに細菌とウィルスを検知できる「バイオウォッチ」を設置する方針であることが4日までに分かった。バイオウォッチは昨年5月に国内で開催された「サッカーU20ワールドカップ」で初めて導入された。
バイオウォッチは空気中の生物粒子の大きさが直径1マイクロメートル(100万分の1メートル)でも検知できる。生物粒子の散乱パターンを認識して一定量以上が浮遊していると認識すれば、これを自動的に収集する方式だ。検知した結果は、テロ対応班にリアルタイムで送られる。担当者が手動で装備を開いてみて、細菌の検知有無を把握する米国の装備よりさらに進化したものだ。装備の開発などに5億6000万ウォンがかかった。
開閉会式には、我々が保有するバイオウォッチ4台が全て動員される。風向きが随時変わることなどを勘案し、イベント会場の四方に設置する予定だ。細菌検知の警報が鳴れば、対テロ要員が検体を移動実験室車両で回収してくる。迅速検知キットを利用すれば、問題の生物粒子がどんな種類なのか、20分以内に判明する。当局は北朝鮮が保有しているとされる炭疽菌やペスト菌、野兎病菌など細菌や痘瘡ウィルスなどを含め病原体13種を現場ですぐ識別することができる。
もし検出された生物粒子が炭疽菌などテロに利用される病原体である場合、被害範囲を検討して、潜在的感染者に抗生物質の投与など即座での応急手当を行う方針だ。炭疽菌を吸い込む場合、1日後から発熱や腹痛などの症状を見せ、5~20%が敗血症性ショックを起こして死亡に至る可能性がある。事前に抗生剤を服用したりワクチンを接種していれば生存率は上がる。感染者が細菌を再び広める可能性は低い。2001年9月に米国で炭疽菌の郵便テロで22人が感染して5人が死亡した。
ただ電波妨害や誤警報は生物テロを抜本的に防ぐ上で障がいになっている。大規模のイベント会場では「ドローンによるテロ」などを防ぐため電波妨害装置が使われる。この過程で無線装備であるバイオウォッチの信号まで遮断される恐れがある。これを防ぐため、有線で運営する問題も検討している。
人体に害を与えない生物粒子を大量に検知しても警報を鳴らす問題は、解決すべき課題となっている。U20W杯では全部で6回警報を鳴らした。いずれもテロによるものではなく、ハーフタイムの休憩時間に観客が一斉に動いたり、喫煙で空気が汚れたのが原因だった。キム・ジュシム疾病管理本部生物テロ対応課長は、「現地の気候や突発状況に備えて訓練してきたし、誤作動を防ぐための装備の補完も終えた状態だ」と自信を語った。
趙健熙 becom@donga.com