北朝鮮は3日、板門店(パンムンジョム)連絡網の再開に続き、4日午前にも先に韓国側に電話をかけてきた。韓国側が「伝える内容があるのか」と尋ねると、北朝鮮側は「ない。伝える内容があれば通知する」と話したという。業務開始を知らせる簡単な会話だったが、北朝鮮が積極的な姿勢を見せているのは肯定的だ。統一部報道官は記者団に、北朝鮮側代表に祖国平和統一委員会の李善権(リ・ソングォン)委員長が出てくるなら、韓国側から趙明均(チョ・ミョンギュン)統一部長官が出ると話した。北朝鮮側から高位級が出てくることを望んでいることを間接的に伝えるものだが、交渉を控えて韓国が急いだり期待感を示すことは慎重でなければならない。
米国では連日、南北対話を懸念する声が出ている。米国務省のアダムス報道官(東アジア太平洋担当)は3日、「南北関係の改善は、北朝鮮の核計画の解決と別に進展することはできない」とし、「北朝鮮核問題の解決に役立たない南北関係の改善は意味がない」と強調した。康京和(カン・ギョンファ)外交部長官が4日、ブルックス在韓米軍司令官とマーク・ナッパー駐韓米国大使代理に会って、「南北対話は北朝鮮の核の脅威に対応する韓米協力なくして進めることはできないというのが文在寅(ムン・ジェイン)大統領の考え」と伝えたのも、そのような懸念を払拭するためだ。
このような点で、与党の一部で南北対話に過度に意味を付与して国際的な対北圧力戦線に亀裂を生じさせかねない声が出ることは憂慮される。文正仁(ムン・ジョンイン)大統領特別補佐官(統一・外交・安保)は4日、ラジオに出演し、「平昌(ピョンチャン)五輪の時の韓米軍事演習の延期が、実質的に演習の縮小につながる可能性がある」とし、「2007年11月15日に南北首相が合意した45の協力事項のうち少なくとも20程度は国連決議案と米国の独自制裁があっても協力が可能な部分がある」と指摘した。別の与党議員が、南北対話再開でまるで北朝鮮核問題の解決の突破口が開かれたように性急な注文を出すことは、かえって核問題解決の障害になるだろう.
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が対話を提案して南北ホットラインの修復に誠意を見せるのは、逆に制裁圧力が効いているという証拠だ。南北対話が開かれても、韓国側の交渉力をつけるには、強力な北朝鮮に対する圧力体制の維持が必要だ。韓国内部の性急な発言は、北朝鮮や米国に誤った信号を送り、北朝鮮側の立場を強めるだけだ。そうした点で、大統領府が最近、南北対話再開に対する反応を自制し、統一部を前面に出すのは望ましい方向設定だ。南北対話が北朝鮮核問題の解決に役立ち得ることを立証し、国際社会の懸念を払拭しなければならない責任が韓国にある。
政府は急いだり焦ったりせず、慎重かつ戦略的に交渉を準備しなければならない。そして何より重要なことは、南北対話を準備して進める過程で、国際社会の対北制裁の協力体制に少しでも亀裂が生じないよう米国など友好国と緊密に協議し、メッセージを作成する努力だ。