韓国と北朝鮮が9日、2年1ヵ月ぶりに交渉テーブルで対座する。南北首脳が直接「速戦即決」で実現させた会談だ。様子を見ていたトランプ米大統領もひとまず南北対話を支持している。いまや関心は、韓半島に吹く薫風が平昌(ピョンチャン)冬季五輪を越えてどこまで続くかに集まっている。
北朝鮮は、南北高官級会談2日前の7日、板門店(パンムンジョム)の連絡チャンネルを通じて祖国平和統一委員会(祖平統)の李善権(リ・ソングォン)委員長を団長とする5人の代表団の名簿を提示した。韓国側は6日に代表団名簿を提示しており、一日で南北会談のラインナップが構築された。
北朝鮮代表団には李委員長のほかに、田鍾秀(チョン・ジョンス)祖平統副委員長、元吉宇(ウォン・ギルウ)体育省次官らが含まれた。趙明均(チョ・ミョンギュ)統一部長官を首席代表に千海成(チョン・ヘソン)統一部次官や盧泰剛(ノ・テガン)文化体育観光部第2次官らで構成された韓国側代表団と格を合わせてきたのだ。韓国と北朝鮮は2013年に閣僚級会談を準備したが、北朝鮮が代表に祖平統の書記局長の参加を通知した、葛藤の末、会談が取り止めになったことがある。
今回の会談は事実上、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の間接的な会談の性格を帯びている。文氏は、正恩氏の新年の辞に歓迎メッセージを出し、韓米合同軍事演習の延期を取りつけるなど、前例のないスピードで会談の開催を導いた。会談の様子も大統領府と主席宮にリアルタイムで伝えられる。政府筋は、「大統領府と南北会談本部で、板門店の韓国側の平和の家に設置された監視カメラで会談の状況が確認できる。北朝鮮側には音声で伝えられる」と説明した。
大統領府はひとまず平昌五輪の議論に集中する方針だ。ただ、大きな枠組みで南北関係の修復に関する原則的な合意に至る可能性もある。平昌に派遣される北朝鮮の高官級代表が誰かによって、五輪期間に核問題解決が進展する契機になり得るという観測も流れている。
北朝鮮側代表団の平昌参加は既成事実のムードだ。北朝鮮の張雄(チャン・ウン)国際オリンピック委員会(IOC)委員が今週、スイスのIOC本部を訪れ、北朝鮮選手団への支援を協議する予定だ。李熙範(イ・ヒボム)平昌冬季五輪組織委員長は、「(北朝鮮の出場権拡大など)IOCの協力が必要な部分が多い。南北会談後、関連議論がなされるだろう」と話した。
トランプ氏は米朝対話の可能性を示唆し、雪解けムードに力を加えた。トランプ氏は6日(現地時間)、記者会見で、「金正恩氏と電話で会談する意思はあるのか」という質問に「もちろんある。私は常に対話を信じている。まちがいなく私はそうする」と述べた。そして「韓国と北朝鮮は今は五輪について話している。それは始まりだ。大きな始まりだ」と強調した。
ムン・ビョンギ記者 シン・ナリ記者 weappon@donga.com · journari@donga.com