北朝鮮が7日、祖国平和統一委員会(祖平統)の李善権(リ・ソングォン)委員長を首席代表とする南北高官級会談の代表団名簿を提示した。韓国政府が6日、趙明均(チョ・ミョンギュ)統一部長官を首席代表とする代表団名簿を伝えたことを受け、格を合わせたのだ。代表団の構成が完了したことで、9日に板門店(パンムンジョム)で開かれる約2年ぶりの南北会談はひとまず順調に出発する見通しだ。トランプ米大統領も「対話を100%支持する」と南北会談に力を与えた。
今回の南北会談の目標は、何よりも平昌(ピョンチャン)冬季五輪の安全に向けて北朝鮮の挑発衝動を管理することにある。一次的には北朝鮮を五輪に参加させ、平和ムードの中、五輪を成功させることにあるが、これを機に南北関係の改善と米朝対話につながれば、これ以上のことはない。しかし、北朝鮮の思惑は別にある。対話で時間を稼いで核武装を加速化し、核保有国の地位を保証されるという手順だろう。北朝鮮が対話に出たのも、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の技術的補完のための内部のタイムテーブルによる戦術の可能性が高い。
このような思惑を知りながら、米国は南北対話に全面的な支持を表明した。今年3月までを北朝鮮核問題解決のデッドラインとしている米国としては、北朝鮮に時間だけを与える結果を生む南北会談をただ支持することも、だからといって反対することもできないジレンマに陥った。にもかかわらず米国はひとまず南北会談に期待をかけることにしたのだ。特に、北朝鮮が南北対話に出たことで、当分の間、ミサイルの発射や核実験を自制する可能性が高いため、五輪期間の挑発休止を経て米朝対話につなげることができると判断したようだ。
しかし、会談が北朝鮮の時間引き延ばしの宣伝の場になったり、とんでもない要求で失敗に終わる危機に陥るなら、米国はただ見てはいないだろう。トランプ氏が、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との電話会談の可能性まで開きながら「条件が伴う」と強調したことは、韓国政府に対しても北朝鮮の非核化という核心条件を忘れてはならないということを改めて想起させる。政府は、北朝鮮の五輪参加だけ歓迎するのではなく、北朝鮮から核・ミサイル挑発を中止するという約束を引き出すことを願う。
北朝鮮は会談で、過去のようにスケールの大きな交渉を呼びかけながら、追加挑発を脅迫する二重戦術を展開する可能性もなくはない。しかし、今度は違わなければならない。米国は、南北会談を米朝対話のための予備テストと見ている。北朝鮮が会談で無理強いをして対話そのものが壊れてしまうあら、その責任は全面的に北朝鮮にあるということを知らなければならない。対話論者であるティラーソン国務長官まで「強力な軍事行動は依然として選択の余地がある」と警告している。正恩氏は決して南北会談を韓米間を仲たがいさせる遊び場と誤認してはならない。