月曜日の朝が顔負けするほど、客室には空席が一つもなかった。「自分撮り」をする20代の恋人から、窓の外を見ながら会話を交わす年配の夫婦、群れをなして座っておしゃべり三昧に陥った中高年のおばさんたち…。客室は旅行のときめきに満ちていた。江原江陵(カンウォン・カンルン)駅に到着すると、約束でもしたかのように「もう着いたの?」「(KTXができて)江陵の人はいいね」などの会話をしながら一斉に立ち上がった。15日午前10時、ソウル駅を出発して江陵駅に到着した京江(キョンガン)線KTX列車の風景だ。
2018平昌(ピョンチャン)冬季五輪を控えて昨年末に開通した京江線KTXが、江原観光の新しい活力として浮上している。江陵ビーチを見て回ってランチし、コーヒーを飲んでから帰ってくる平日の日帰り旅行から1泊2日の週末旅行まで、KTXに乗ってやってくる首都圏の旅行者であふれている。
ガールフレンドと一緒に来たという大学生のチェ・ジンヨンさん(21)は、「KTXに乗れば2時間で海を見ることができるので江陵を選んだ。正東津(チョンドンジン)で海を見た後、市外バスに乗って平昌に行って、羊の牧場も見て回る計画だ」と話した。7、8人の50代の中年の女性は、「友人同士で江陵で気分転換をして刺身を食べるためにきた」と笑いながら消えた。江陵の代表観光地である烏竹軒(オジュクホン)の関係者は、「以前は観光バスに乗ってきた団体観光客が多かったが、今は10人単位でKTXに乗って来るお客さんのほうが多い。草堂(チョダン)豆腐村や中央市場の刺身屋でご飯を食べて、コーヒー街の安木(アンモク)ビーチでコーヒーを飲む」と説明した。
韓国鉄道公社(コレイル)によると、昨年12月22日に開通した京江線KTXは、14日まで計34万人の乗客が利用した。同期間、京江線KTXの予約買い率は80%で、湖南(ホナム)線(70%)よりも高い。この日も平日なのに午前8~10時まで毎時ソウル駅を出発した江陵行のKTX3便はすべて売り切れとなった。江陵シティツアーを手がけるニュー東方(トンバン)観光のチョン・ジェグァン代表(46)は、「週末は多くは2倍までお客が集まる」と説明した。
地元商店街もにぎわっている。コーヒーカッパーのムン・ヒョンミ支店長(49)は、「以前はソウルに戻る時間のために日曜日の午後3時になれば、コーヒー街は閑散としていたが、今では日曜日の遅くまで賑わう。売上も10%以上伸びた」と話した。週末だけ賑わっていた海辺周辺の飲食店は、平日のお昼や夕食の時も賑わう。業界もKTX特需の獲得に乗り出している。駅の中には、済州(チェジュ)空港などで見ることのできるレンタカーコーナーができた。正東津駅を行き来する有料のシャトルバスも登場した。鉄道公社は、京江線KTXの開通後、列車と連携した旅行パッケージ商品20件を披露した。珍富(チンブ)駅で降りて、バスで平昌マス祭り、ウォルジョンサン山、大関嶺(テグァンリョン)羊牧場と江陵の安木ビーチを見て回った後、再び珍富駅でKTXに乗ってソウルに戻ってくる。まだ見物と食べ物が豊富な江陵観光に集まるが、平昌オリンピックが始まると、KTXに乗って平昌、旌善(チョンソン)に向かう旅行者も多くなるとみられる。
一方、コレイルは今月末まで運営するソウル~江陵KTXの特価商品二つ(四人で5万ウォン、50%の激安特価乗車券)を2月末まで延長販売する。
姜泓求 windup@donga.com