北朝鮮の平昌(ピョンチャン)冬季五輪の参加決定で南北間の雪解けムードが生まれているが、米国は北朝鮮に対する軍事圧力の手綱をさらに引き締めている。年明けから韓半島周辺に戦略兵器を前進配備し、北朝鮮の一挙手一投足を注目している。北朝鮮の対南融和攻勢がいつでも核・ミサイル挑発に豹変するものと見て、徹底した備えに出たと見られる。
軍関係者は、「米国は北朝鮮の平昌五輪参加の意図を偽装平和戦術と見ている」と指摘した。和解の後に挑発を強行した前例を見るなら、超高強度の軍事的対応に直面するという警告を北朝鮮に送っているのだ。
●戦略爆撃機、原子力空母、原子力潜水艦・・・韓半島付近で総展開
具体的な作業も着々と進んでいる。米国は最近、グアムのアンダーソン基地にB2ステルス爆撃機(3機)とB52戦略爆撃機(6機)の計9機を配備した。2つの機種はいずれも米本土からノンストップで飛んできた。米太平洋司令部は、域内の抑止力維持と同盟国の防衛公約のための措置と説明した。
事実上、北朝鮮に対する軍事圧力措置という見解が支配的だ。グアムは、アジア太平洋のハブ基地であり、韓半島有事の際の米戦闘爆撃機の出撃基地だ。北朝鮮の核・ミサイル挑発のたびにグアムのB1B戦略爆撃機が韓半島に展開した。昨年9月には史上初めて東海(トンへ・日本海)上の北方限界性(NLL)を越えて咸鏡北道(ハムギョンプクト)の豊渓里(プンゲリ)核実験場の付近まで飛行し、武力示威を行った。軍当局者は、「核攻撃が可能な戦闘爆撃機のグアム増強配備は、核の傘など韓国に対する拡大抑止が一寸の隙もないという意味」だと話した。核・ミサイル挑発を断念せよとの北朝鮮へのメッセージであるということだ。
原子力空母も韓半島に向かっている。今月初め、米海軍はサンディエゴ基地のカールビンソン空母を西太平洋地域に出港させた。カールビンソン空母は近くイージス巡洋艦と合流し、米第7艦隊の作戦区域に入る予定だ。その後、横須賀基地のロナルド・レーガン空母打撃群と共に韓半島近海に布陣するという観測が流れている。軍消息筋は、「中・小国家の海空軍力に匹敵する空母打撃群が2つも韓半島周辺に配備されれば、北朝鮮は相当な圧力を感じるだろう」と述べた。また、数日内に米海軍の原子力潜水艦(バージニア級)1隻が物資補給のために鎮海(チンへ)港に入港するという。同潜水艦は射程2500キロ級のトマホーク巡航ミサイルで敵の標的を同時多発的に攻撃ができる。
● 「米、北朝鮮との衝突に備えて重大な訓練中」
こうした中、米紙ニューヨーク・タイムズなど米メディアは、トランプ政権が北朝鮮との戦争に備えた訓練を行っていると報じ、注目される。最近、米本土各地で攻撃ヘリコプターや大型輸送機などの大規模な兵器装備や兵力が参加する空爆・輸送訓練が北朝鮮との戦争を念頭に置いたということだ。これと関連して、米下院軍事委員会のマック・ソーンベリー委員長(共和・テキサス)が16日(現地時間)、「米軍は北朝鮮との衝突の可能性に備えてかなり重大な訓練をしている」と明らかにした。ソーンベリー委員長は「トランプ政権は北朝鮮に対する軍事的選択肢を非常に深刻に検討している。これはかなり重大だ」とし、「このような準備が使用されないことを望む」と述べた。
一方、元大統領府安保戦略秘書官の全星勲(チョン・ソンフン)峨山(アサン)政策研究院客員研究員は、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射直前に高出力マイクロウエイブ(HPM)弾を撃って無力化する方法が米国の有力な北朝鮮に対する軍事選択肢だと主張した。全氏は最近、峨山政策研究院で出した報告書で、有事の際、米国は韓国の同意を求めず、北朝鮮の特定ターゲットを攻撃する可能性があると明らかにした。そして、米国防総省が最近開発を完了したHPM弾をB52戦闘爆撃機に搭載される巡航ミサイル(射程1000~2500キロ)に載せて北朝鮮に撃つ方法を取る可能性が高いと明らかにした。別名「e爆弾」と呼ばれるHPM弾は、20億ワットの電力を放ち、数百メートルの半径のすべての電子機器をくず鉄にすることができる。これにより全天候の攻撃が可能で人命殺傷など北朝鮮の被害を最小化し、米国の(核を容認しないという)意思を強力に伝えることができるという。
尹相虎 ysh1005@donga.com · 孫孝珠 hjson@donga.com